「飽きられた時に新ネタ出しても、もう遅い」大阪フミンはみんな芸人の師匠なのか?

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大阪の人たちはみんな、お笑いにうるさい。まるでひとりひとりが芸人を厳しく育てる師匠のようだ、と言われる。7月20日放送の『秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ・日本テレビ系)ではこの点に着目し、大阪で道行く人びとにインタビューを試みた。果たしてホントに大阪フミンは師匠目線で芸人さんを見ているのだろうか?

商店街で出会ったオカンはいきなりこう言う。「才能があったら出てきたらいいけど、テレビに出たいだけやったら無理やと思いますわ」。説得力のある言葉には、うなずくしかない。ビジネスマン三人は評価できる芸人として銀シャリを挙げる。「最近、漫才の中でコントに入っていく人もおるけど、銀シャリはちゃんと漫才をやる」。言われて見ると、その通り。さすが大阪フミンはよく見ている! 

大阪ガールズは、最近人気のアキラ100%について手厳しい。「面白さがわからない」「面白さ100%ちゃうな、1%や」。アキラ100%に大笑いしている自分が恥ずかしくなってきた。

淀川河川敷にたむろすナニワキッズも一家言を述べる。「飽きられてきたら、スタジオでもウケんくなって、番組のオファーが来なくなって消えてゆく」。オ、オファー? そんな専門用語も使いこなす。「飽きられた時に新ネタ出されても、もう飽きてるから遅い」。うーん、その通りかもしれない。

この日出演していたケンドーコバヤシについても聞いてみた。大阪から東京に進出して成功している点について……「東京でウケはるのもびっくり」「めちゃ置きにいってますよね、もっと破天荒でした。グルメ雑誌とか出すイメージなかった」。お、置きに行ってる? いまでも十分破天荒な気がするが……。

最後に大阪のおっちゃんに西川きよし師匠について聞くと、こう言った。「サイコーや、他の人間が持ってないことを持ってるね、ああいう人間になりたい」「西川師匠は大丈夫、ボケててもヘレンさんがついてるし、息子もそばにおるし、娘もおるし。娘は出戻りやけどね」。余計なひとこともついていたが、家族のことまで知っていて大リスペクトしていることが伝わってきた。

だんだんわかってきたが、大阪フミンにとって芸人に厳しいことを言うのは、お客さんとしての上から目線ではなく、仲間として見ているからなのだ。本当に師匠目線、あえてきつい批評も浴びせることで、育ててくれているのだ。それは、一緒にがんばろうという応援でもあるのだろう。

芸人たちと、それを師匠の目線であたたかく時には厳しく見守る大阪フミン。その関係が、日本のお笑いをここまで育ててきたと言えそうだ。日本人みんなをお笑いで癒してくれてきた大阪の芸人文化。大阪フミンのみなさんはこれからも師匠の心で育ててくれることだろう。ありがとう、大阪フミン! そしてがんばれ、大阪芸人たち!

【文:境 治】

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