炭水化物×炭水化物? 禁断のジャンクフード「そばめし」の秘密が暴かれる!

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よりによって「そば」と「めし」。炭水化物同士を掛け合わせるなんて食べ物として間違っている気がするが、そのジャンク感がなんともそそる。それが神戸発祥、兵庫ケンミンが愛する「そばめし」だ。5月18日放送の『秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ・日本テレビ系)ではこの「そばめし」がフィーチャーされた。

筆者はたまたま先日神戸を訪れ、地元ケンミンに勧められて「そばめし」を食べに行った。阪神大震災で大きな被害に遭いながらも鉄人28号に見守られて力強く復興した長田区に行くと、小さなお好み焼き屋があちこちにあり、「そばめし」がメニューにあるという。

筆者が入った「ゆき」はテーブルが5つあるだけの小さな店で、11時半ごろに行くともういっぱいだった。ストレートに「そばめし」を注文するとその名の通り、焼きそばと焼きめしが一緒になったような食べ物が出てきた。店の奥でおばあちゃんが焼いたのを、お姉さんが巨大な鉄のちりとり状のもので運んできて筆者の目の前の鉄板にザーッと供される。

お好みでかけてもいいとソースも紹介されたが、すでにおいしそうなのでそのまま食べよう……として戸惑った。スプーンがない! 小型のコテが添えられてるだけ。お姉さんに聞くと「テコで食べて」「……テコ?……」「あ、コテね。テコはコテ」なるほど、ここではコテのことをテコというらしい。

慣れないがテコで口に運ぶと、もちろん関西のお好み焼系の味だが、意外にさっぱりしている。それに噛むほどに複雑でいろんな味わいがにじみ出てきた。ご飯とそばの食感も楽しい。なるほど、これはうまい! 筆者は「そばめし」の魅力をじっくり味わい、地元ケンミンが愛してきた理由を得心した。

さて『ケンミンSHOW』では、長田区でケンミンたちが「そばめし」を味わう様子を映し出した。地元民が「ソース味の食感の集合体」と評していて、ついこないだ食べた筆者としても言い得て妙な表現だと感心した。

さらに地元ケンミンが「ぼっかけ」がおいしさのポイントだと主張。「ぼっかけ?」それは、こんにゃくと牛スジを煮込んだもので「そばめし」の重要な具材だそうだ。あの時感じた複雑な味はこのぼっかけのおかげだろうか。

さらにさらに、地元ケンミンが「どろソース」をたっぷりかけて食べるシーンが出てきて、ますますうまそうだ。ウスターソースを作るときに、底に沈殿した部分がどろソースだそうで、旨味が凝縮されているという。ああ! しまった! 筆者は「ゆき」でソースを避けてしまった! なんたる不覚! この「どろソース」という究極のジャンキーみたいな名前が逆にそそるではないか。「どろをつけなあかんのですよ」と言うケンミンまでいて、なぜあの時かけなかったのかと大後悔してしまった。

「そばめし」誕生の経緯について、その発祥の店「青森」の二代目おかみさんが話してくれた。昭和30年代、あるお客さんがよく焼きそばをおかずにご飯を食べていた。忙しいお客さんが「はよ食べてはよ仕事がしたいんで」と、冷やご飯を持ってきて焼きそばに「一緒に混ぜてくれ」と言う。そこでやってみたら、おいしかったところから始まったメニューだそうだ。

言ってみれば「そばめし」は、お店とお客さんのコラボレーションから生まれたのだ。お客さんとの距離が近い関西の下町の空気が生み出したメニューかもしれない。

ゲスト陣はそれぞれ美味しそうな「そばめし」に興味津々になったが、神奈川ケンミンの出川哲朗は「美味しいものを一緒にすればいいと言う関西人の悪いところが出ている」と暴言を口にし、大阪ケンミンの久本雅美に「なんやのどろソースみたいな顔して」と突っ込まれていた。

そのあと、全員で「そばめし」を実食。その美味しさを認めた出川がまた「そばとご飯が一緒になって、出川哲朗と上島竜兵が一緒になってるみたいだ」と言うとまた久本雅美に「まずそう」と突っ込まれ、スタジオは爆笑となった。

それにしても、せっかく「そばめし」を食べたのに、肝心のどろソースをかけなかったことが悔やまれる。なんとしてもまた神戸に行き、どろソースをたっぷりかけて「そばめし」の真のおいしさを堪能したいと思う。

【文:境 治】

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