石原さとみ『地味スゴ』が描く“無駄かもしれない努力”の重要さ

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石原さとみが主演を務める日本テレビ系の連続ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(毎週水曜22:00~)。11月2日放送の第5話では、登場人物たちがプロ意識を垣間見せる姿が描かれた。

原作は、宮木あや子による小説「校閲ガール」シリーズ(KADOKAWA刊)。オシャレが大好きな悦子は、夢のファッション編集者を目指して出版社に入社。しかし、配属されたのは、超地味な校閲部だった。そこで、小説の些細な点が気になって舞台となる北海道に直行したり、週刊誌が追う事件の真実を確かめに現場に潜入取材したり、時には、矛盾点を作家に訴え内容を大幅に変更させるなど、校閲の仕事を超えて大暴れ。「……あれ? この仕事、地味にスゴイ?? いえいえ、私がなりたいのはファッション編集者ですからッ!」と思いながら、今日も“ド派手ファッション”という戦闘服に身を包み、校閲の仕事に立ち向かっていく。

第5話の冒頭で悦子は、先輩校閲部員の藤岩りおん(江口のりこ)の膨大な量の指摘出しに気づく。しかし、藤岩は「この作家の編集担当は、作家に渡す前にほとんど消してしまいます」と語る。悦子が「それじゃあ藤岩さんのやったこと意味ないじゃないですか」と聞き返すと、藤岩は「気になったことは全て指摘出しするのが、我々の仕事です。ですから、仮に採用されなかったとしても無駄になったとは思いません」とプロ意識を見せる。

その後、ほとんど目を通さずに作家にゲラを渡してしまう編集者・貝塚八郎(青木崇高)が校閲部に乗り込んでくる。悦子に対して、「なんだこの付箋の量は。危うくこのまま作家に渡すとこだったじゃないか」とクレームをいれるが、悦子は「よっしゃ! 大成功」と大喜び。「これだけ付箋をつければさすがのあんたも作家に渡す前にチェックするかなと思って試してみたのよ」とその真意を明かす。

そうこうする内に、悦子はイタリア在住の人気スタイリスト・フロイライン登紀子(川原亜矢子)がイタリアで出版したエッセイの校閲を任されることに。登紀子がかつて『Lassy』で書いていたファッションエッセイの大ファンだった悦子は、大張り切り。ただし、今回の校閲は翻訳後の文字校正をするだけだった。

一方、『Lassy』では、男性専属モデルを決める読者投票を行うことに。ちょうど帰国予定の登紀子が投票ページに掲載するモデル候補のスタイリングを担当する。登紀子から幸人(菅田将暉)の撮影コンセプトを指示された森尾(本田翼)は、イメージに合う撮影用小道具を集めるために奔走。その矢先、『Lassy』編集部を訪れた登紀子は、森尾が用意した撮影用小道具を見て、「センスがない」と一蹴。森尾が苦労して集めたことを知っていた悦子は、登紀子の態度に黙っていられなくなり、「そんな方でしたっけ? この世に無駄なことなんてない、そう考えてる方かと思っていました」と口にしてしまう。すると、登紀子からは「あなたが『Lassy』の子ならこの仕事を降りるところよ。立場をわきまえなさい」と告げられてしまう。

その夜、悦子は森尾に、登紀子がアシスタント時代に苦労していて、指示されていないパッチワークを作っていたという、“無駄になるかもしれない努力”をしていたことを説明する。翌日、悦子は森尾に「やるだけ無駄なことなんてないと思うんだ。たとえ誰にも褒めてもらえなくても、認めてもらえなくも。できる限りのことは全力でしたって思いたい。だからあたしも、今からまた無駄だって思われることしてくるよ」とエールを送る。そして、イタリア人観光客にビラを配り、原稿の事実確認をお願いすることに。これに影響を受けた森尾も、自身の仕事ときちんと向き合う覚悟を決めて、“無駄になるかもしれない努力”をする。

一方の登紀子も、校閲部を見学してみることに。そこで悦子と会話したことから、一見、無駄に見えるような様々なことが、事実確認において必要な行為だと気づく。校閲部長の茸原(岸谷五朗)は「どんなに苦労して緻密な確認作業をしても、結果間違っていなければその苦労は誰にも知られず、褒められることもない。無駄な作業と言われても致し方ありません。ですが、これが我々校閲の仕事です」と説く。これに感銘を受けた登紀子は、自身がアシスタントだった頃の初心を思い出し、撮影に向かう。そして、森尾が作ったパッチワークに気づき、撮影に採用するのだった。

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