菅田将暉「ミサミサに会えて嬉しかった」『デスノートLNW』を振り返る

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10月29日公開の映画『デスノート Light up the NEW world』。2006年に公開された映画『デスノート』から10年後に舞台を移し、正統な続編として紡がれる本作。再び「そのノートに名前を書かれた人間は死ぬ」という死神のノート、“デスノート”が地上にもたらされ、世界中が大混乱に陥っていた。そんな中、キラ事件に精通した“デスノートを追う男”三島創(東出昌大)を筆頭に、5人の特別対策チームの捜査官たちを中心とした<デスノート対策本部>が構えられていた。そこに、世界的名探偵にして、Lの正統な後継者“デスノートを封じる男”竜崎(池松壮亮)も加わり事件解明に当たる。そして、とある事件から一冊のデスノートを入手するが、その現場には、キラ信奉者“デスノートを制する男”紫苑(菅田将暉)の姿が……。そして、“人間界で同時に存在していいノートは6冊まで”という「6冊ルール」のもと、今、デスノートを巡る三つ巴の戦いの火蓋が切って落とされる。

そんな白熱の心理戦が繰り広げられる中で、キラ信奉者のサイバーテロリスト・紫苑優輝を演じているのが、ドラマ『民王』(テレビ朝日)や『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ)、映画『セトウツミ』(2016)などに出演している、菅田将暉さん。このインタビューでは、ご自身の役柄や共演者の方とのエピソードなどを語っていただいた。

――キラ信奉者という役どころの紫苑にどのように臨まれましたか?

紫苑のどこが怖いのか? 何がスゴいのか? は台本にはほとんど書いてなかったんですけど、サイバーテロリストなのに行動力がある、そのバランスのよさが強みだと感じて。策を練ってくる奴と1対1になっても最後は力で勝つ、そういう感じにしたいなと思っていました。でも、一方では無邪気な若者だし、それ故にやっていることがけっこう残虐だったりするので、原作の後半に出てくる“Lのふたりの後継者=メロの行動的な資質とニアの頭脳”も少し意識しましたね。それに、紫苑はロマンチストだと思います。特に機動隊の襲撃を受けながら、ノートに必死に機動隊員の名前を書いているときの姿は無様というか、滑稽で、竜崎にも「オマエ、銃に勝てるわけないだろ?」って言われてしまう。そんなことは分かっているけれど、そこに固執してしまう感じがロマンチストだし、若いですよね。

――そんな紫苑に共感するところはありました?

共感ですか? 逆に共感できないのは、人を殺すところですね。僕はもしデスノートを渡されて、「誰か嫌いな人の名前を書いてもいいよ」と言われても絶対に書けない。ただ、紫苑は紫苑で幼少期からのいろいろな経験を経てああいう行動に出ていると思うし、目指しているものがあるんでしょうね。劇中に、死神のリュークが服を脱いだ紫苑の身体を見て「その背中、どうしたんだ?」と言うシーンがあるんですけど、それに答えるときの喋り方も佐藤信介監督とかなり相談しました。深刻に話すのも違うし、普通に喋るのも味気ない。それで、観ている人がちょっと引っかかるぐらいの塩梅でやったんですけど、そのときの漏れ出るダサさみたいなものは男として分かるような気がしました。それに、紫苑はたぶんコスプレ好きなんですよ。宅急便の人にもなるし、これは衣裳合わせのときに僕が決めたことでもあるんですけど、6冊のデスノートが揃う場所に出向くときは結婚式に出るような神聖なファッションにしようということで、あの白の皮ジャンになったんです。紫苑の部屋に幾何学的に計算された折紙がたくさん置いてあるんですけど、あれを作っている人なら決め事がたくさんあるような気がして。宅急便のあの感じは、コスプレイヤーの僕も大共感でした(笑)。

――竜崎役の池松壮亮さんとは『セトウツミ』に続いての共演でしたが、いかがでしたか?

安心感とはまた違う、力強さを感じました。実際の撮影では2日しか一緒の日がなかったんですけど、池松くんが「所有者の射殺許可が出てないぞ!」という言いにくいセリフをどういう感じでいうのか楽しみにしていました。そしたら、ゆっくりとでっかい声で「所有者の…」って言ったから、その瞬間、この映画、面白いわ~と思って(笑)。あのセリフを聞いただけで、どんな竜崎を演じてきたのか分かりましたから。

――紫苑にとっては、戸田恵梨香さんが演じた弥海砂の存在も大きかったと思います。

そうですね。海砂に会えたのはすごく嬉しかった。うわ~ミサミサだと思いました(笑)。ただ、海砂と彼女の車の中で最初に会うシーンは、紫苑の登場シーンでもあるから、新しい勢力が現れたという印象を残しつつ、相手に“キラ=夜神月”という存在を共有する同士に近い感情も持っているので、渡すものだけサラッと渡すイメージだったんです。ところが、海砂を演じていたのが『大切なことはすべて君が教えてくれた』(2011)というドラマで教師と生徒役として共演した戸田さんだったからなのか、なぜか色気の香る問答になって。するわけないけれど、キスするのか? みたいなムードになったんです(笑)。

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