竹野内豊「江口洋介は漁師そのものだった」映画『人生の約束』で初共演

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1月9日に公開を迎える映画『人生の約束』は、テレビドラマ界の巨匠・石橋冠が“第二のふるさと”として愛してやまない富山県新湊を舞台に描いた感動巨編。誰もが惑う時代だからこそ、前を向いて生きていくために見失いがちな、かけがえのない大切な人と人との「つながり」、「絆」と「再生」を描く、すべての日本人の心に響き渡る人間ドラマだ。

今回は、会社の拡大にしか興味が無い仕事人間でグローバル企業の社長・中原祐馬役の竹野内豊さん、地元の漁師を束ねる四十物町の総代・渡辺鉄也役の江口洋介さんにインタビュー。初共演となるお互いの印象や石橋監督の作品への出演が決まった際の心境、共演者とのエピソードなどを語っていただいた。

――長らく会っていなかった親友の死をきっかけに、田舎町で人とのつながりを取り戻していく主人公・祐馬。監督とはどのようなお話をされましたか?

竹野内:撮影が始まる前に監督から「すでに江口さんは何度か現地入りして、いろいろ漁師の人たちと一緒に飲んだりしながら、竹野内くんが来ることを待ってるよ」と、お聞きしました。なので、俺も行った方がいいのかなと思って「俺、こんなにゆっくりしていていいんですかね?」と監督に聞いたら、「いいんだよ、来なくて。あえて祐馬は何も知らなくてもいい」と言われました。

――おふたりは初共演ですね。まず江口さんにお尋ねします。竹野内さんの印象や、役として対面した際のエピソードを教えていただけますか?

江口:竹野内くんとは、初めて共演することになったんですけど、世代がすごく近いので出演作品も見ていますし、彼のスタイリッシュな感じと、グローバル企業の社長という祐馬のイメージがぴったりでした。僕が演じる鉄也は、祐馬と対極にいるような男なので、町の人と一緒に時間を費やして、漁師の生活スタイルや、映画にも登場する祭りを愛している人たちの中に身を置くという時間を設けました。最初は、現場にも“竹野内豊が来た”というか、“祐馬が来た”と思える状況になってましたね。漁師たちやまちの人間の輪の中に入りづらい空気が、時間が経つにつれてだんだん和解していく、というストーリーに沿った感じで接していきました。

――竹野内さんはいかがでしたか?

竹野内:最初は、ちょっと近寄りがたい雰囲気というか、バリバリな熱さというか、「東京から来たやつなんて受け入れねえぞ」っていうような威圧感や勇ましさを感じました。まさに、漁師そのものでしたね。自分もあいさつ程度ぐらいで、あまりお話できるような雰囲気じゃなかったんですけど、現地に行って10日目くらいかな。江口さんが「もしよかったら一緒に飲みに行かない?」って誘ってくださって。その時は、撮影自体もだんだん鉄也と祐馬が打ち解けていくタイミングで、現実と作品がシンクロしている感じでした。

――江口さんは役者人生初の角刈りで挑まれていますが、どのような経緯でその髪型に?

江口:この作品をやる前は、髪を伸ばしていたんですよ。でも、何回か現地に行っているうちに、なるべくそういう自分の私生活的なものを全部取った方がいいなと。町に角刈りのお父さんがいっぱいいて、「この感じだな」と思いつつ自分の中にインプットしていった結果、この角刈りで行った方が面白いなと思いました。

――そんな江口さんをご覧になっていかがでしたか?

竹野内:今の江口さんは、あの時の富山にいた江口さんじゃないですよね(笑)。5月に撮影を終えてからあまり会っていなかったのですが、改めて江口さんとお会いしても、本当に同じ人だったのだろうかって。飲みに誘ってくださったりもするんですけど、飲んでいてもあの時の江口さんと、東京に帰ってきてから一緒に飲んでいる時の江口さんとは違うんですよ。

江口:撮影期間中は役のジャージをずっと脱がずにやってたしね(笑)。

竹野内:普通はその日の撮影が終わったら衣装を着替えますよね(笑)。本当に役そのものでした。

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