松坂桃李、視覚以外の五感を失った探偵役に挑戦『日暮旅人』監督は堤幸彦

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俳優の松坂桃李が、今秋に放送される『金曜ロードSHOW!特別ドラマ企画 視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ系、放送日未定、金曜21:00~)で、主演することがわかった。多部未華子濱田岳北大路欣也ら豪華共演者が脇を固め、堤幸彦が監督を務める。

本作は、累計40万部を突破している、山口幸三郎による小説「探偵・日暮旅人シリーズ」(メディアワークス文庫 刊)を実写化。主人公は、過去のある出来事が原因で五感のうち聴覚、嗅覚、味覚、触覚を失い、残された視覚だけを頼りに調査をしている“探し物探偵”日暮旅人(ひぐらしたびと)。この難役を演じた松坂は「五感のうち四つの感覚がなく、視覚だけで人の感情や匂いなど、色々なものが視える探偵です。視覚しかない役は演じたことがないので、最初はどういう風に演じたらいいのかわからなかったのですが、例えば、手や足の位置が視野の中に、ぱっと入ったときにわかるようにと監督のアイディアで、爪にマニキュアを塗ったりしました」と、役作りのポイントを語っている。

そんな旅人を、濱田演じる相棒の雪路雅彦、子役の住田萌乃演じる保育園に通う娘の百代灯衣(ももしろてい)がサポートし、探偵事務所で三人暮らしをしている。そんな中、多部演じる保育士の山川陽子は、灯衣を通じて旅人・雪路と知り合い、旅人に大事な無くし物を見つけてもらう。陽子は三人が暮らす探偵事務所に出入りするようになり、旅人が事件を解決する様子を目の当たりに。一方の旅人も、なぜか陽子が気になるらしいが、陽子のために命綱である目を疲弊させ、雪路をやきもきさせていた。そんなある日、灯衣が行方不明になってしまう。慌てて目を使おうとする旅人を、北大路演じる主治医の榎木が「お前はこのままでは失明する」と静止するが……。

血がつながらない灯衣の父親役を演じたことについて、松坂は「すごく大きな経験をしたと思います。灯衣という娘の存在が僕をパパにしてくれて、陽子先生や雪路が家族にしてくれて、血はつながっていないけど、自分が本当に信じるものが“本当だ”と思えば、それが真実になる、ということを教わった感じがします」と撮影を振り返り、「現場では皆が家族のような空気感で、灯衣ちゃんを中心に自然と集まって、家族、作品を作っていた感じがします。灯衣がいてくれたから、助けられましたし、灯衣なしでは日暮旅人はありえないです」と続けた。

そして、「ある過去がきっかけで、視覚以外を失ってしまった旅人が事件を解決していくミステリーですが、同時に、家族の絆の話だと思っています。とても温かい気持ちになれるヒューマンドラマだと思いますので是非、最後まで見て感じ取って欲しいです」と見どころを語った。共演者、堤監督らのコメントは以下。

<多部未華子>
山川陽子という役は、保育園の先生で、人の役に立ちたいと思ったらすぐに行動に移してしまう性格で、旅人たちの探偵事務所と深く関っていくことになります。物語は陽子目線で描かれていくので、陽子の目線が、視聴者の方に一番近いのではないでしょうか。また、旅人の視点がどのように描かれているのかは堤監督の頭の中にだけあるのですが、私たちの想像を超える作品になると思いますし、新鮮なドラマになっていると思います。ファンタジックな物語なので、ご家族揃って楽しんでいただける作品になっていると思います。

<濱田岳>
雪路は、旅人のよき理解者であり仕事上でのパートナーであり、どこかブラックな、銭ゲバといわれたりする役です。雪路自身も不完全な人だと思っていて、このメンバーが揃って一つの家族というか、合体ロボじゃないですけど、みんなが集まってやっと人のカタチになる役だと思います。最初は原作本の挿絵のイメージの雪路を思っていたのですが、衣裳合わせにいったらドレッドヘアのかつらが用意してあって、金歯もして、外見にも助けられましたが、“恥ずかしがらない”という役作りを心がけました。原作ファンも当然裏切らない作りになっていますし、堤作品ファンにも当然楽しんでいただけるような遊び心がたくさんあるものになっています。クランクインの日に、控室に“おばけ”がいっぱいいてびっくりしましたし、旅人の探偵事務所の下にあるお店の名前がとってもユニークなものになっていますので、そのあたりも是非ご覧ください。

<住田萌乃>
すごく楽しかったです。それぞれの役柄が面白いので楽しんでみていただけると思います。血はつながっていないけれど、本当の親子のようになっていくところを見てもらいたいです。

<堤幸彦監督>
久々の日本テレビでのドラマ演出! 16年ぶり! そりゃ気合いも入りますよ。持てるノウハウを全力で注ぎこもう! なんて決意してましたが、原作と脚本を手にとって「あ、イケる」と。肩に力を入れすぎないように、むしろ楽しもうと。素敵なタッチのお話です。ベースに流れている“過去の出来事”は暗い影を落としつつも、しかし現代で最も必要な“家族愛”を本当の家族じゃない人々が表現する。魅力的な設定です。超人間的な能力も旅人は持ち合わせているけれど、視えるものは“真実”、もし仲間に旅人がいたら「頼むからオレを視るな! 周りを視ろ!」と叫んでしまいそうだ。暑い夏に錦糸町を疾走してこの“愛すべき風変わりなドラマ”を撮りました。たくさんの皆様にご覧いただければ幸いです。

<荻野哲弘プロデューサー>
まずは、原作を拝読し、旅人・雪路・灯衣の3人の、血が繋がっていないのに実の家族以上に固く結ばれた絆の強さに惹きつけられました。そんな疑似家族の姿を、部外者である保育士・陽子がどのように見つめ、どのように関わっていくかを描いたら面白いのではないかと。また、視覚を唯一の拠りどころとする旅人の目に、この世界がどのように映っているのかにも興味がそそられました。そんな世界を構築するのに最も相応しい監督・堤幸彦さんに演出をお願いできたことは望外の歓びであり、完成が今から待ち遠しいです。膨大な物語が綴られた原作を、ユニークな着想と面白いセリフで纏めた脚本家の福原充則さんにも感謝しております。是非、ご期待下さい!

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