唐沢寿明、ヨーロッパで差別を受けた経験を告白

公開: 更新:

2015年12月5日に公開される映画『杉原千畝 スギハラチウネ』の制作報告会見が19日、都内で行われ、主演の唐沢寿明、小雪らが出席。作品への思いや撮影秘話を明かした。

第二次世界大戦時にリトアニア領事としてユダヤ難民にビザを発給し続け、6000人の命を救ったと言われる外交官・杉原千畝の壮絶な生涯を綴った本作。これまであまり語られていない、インテリジェンス・オフィサー(諜報外交官)として危険な諜報戦に身を投じた千畝の姿を描く新しい試みにも挑戦している。千畝を演じる唐沢は、「千畝さんをより多くの方に知っていただきたいという思いで、ポーランドでの撮影をしてきました。その結果は劇場で出てくれているでしょう。楽しみにしていてください」と、完成度の高さに自信を見せた。一方、千畝の妻を演じる小雪は「この作品をご覧になっていただいて、今どういう人生を生きているのか、自分の生き方を問うきっかけになっていただけたら本当に嬉しいです」と語った。

今回の会見のため、モントリオール映画祭で最優秀男優賞にも輝いたボリス・スジックと、アンジェイ・ワイダ監督『ワレサ 連帯の男』でヒロインを演じたアグニェシュカ・グロホウスカという、ポーランドを代表する役者が初来日。ハリウッドで活躍するチェリン・グラック監督をはじめ、日本、ポーランドの精鋭が集まった現場について、千畝の右腕ペシュを演じたボリスは「まるで冒険しているような経験をすることができた」と感想を。千畝に密かな思いを寄せる女性イリーナ役のアグニェシュカは「みなさまに会えて光栄です」と日本語での挨拶を披露し、「セットも素晴らしく、スタッフとは家族のような気持ちで仕事ができた」と撮影を振り返った。

シリアスな場面が多い本作だが、唐沢から「ムードメーカーはボリス。常にしゃべっていてチャーミングな人」と明かされると、ボリスも「もしかしたら集中している彼を邪魔しちゃったかもしれないね」とジョークで応じ、チームワークの良さを見せた。そんな和気あいあいとした現場ではスイッチの切り替えは難しかったのでは、という質問に、唐沢も「僕は珍しく現場でもシリアスでしたからね」と答え、笑いを誘っていた。

また、“杉浦千畝”を演じて価値観に変化があったという唐沢は、自らのヨーロッパでの差別体験を明かし、「差別される人ってこういう気持ちになるんだ。ユダヤの方々も大変な思いをされたんだなと実感しました。昔から差別をしてはいけないという思いはあったけど、より一層その気持ちが強くなった」と語り、「戦争は良くないし、ごめんなさいとかありがとうと言える人はケンカしないじゃないですか」と持論を展開した。

奥田誠治エグゼクティブ・プロデューサーからは「ハリウッドからの関心も高い作品なので、全世界で公開していきたいですね。撮影の舞台となったポーランドの首都ワルシャワや、リトアニアでの試写などもできればと思います」と今後の展望が語られた。本作の撮影は全て終了しており、編集などを経て8月頃に完成予定。

PICK UP