映画『ST』メンバーの秘話を暴露…そして続編は?三宅弘城×佐藤東弥監督【インタビューvol.2】

公開:

2013年4月のスペシャルドラマから始まり、2014年7月期に連続ドラマとして日本テレビ系で放送された『ST 赤と白の捜査ファイル』が、続編を望む視聴者の声に応えて早くも映画化。2015年1月10日(土)に全国で公開される。

警視庁の特殊機関である科学特捜班(Scientific Task Force)、通称“ST”。藤原竜也演じる、STのリーダーで対人恐怖症の天才分析官・赤城左門と、岡田将生演じる、STの管理を任せられたお人好しのキャリア警部・百合根友久による絶妙な掛け合いを軸に、個性豊かな分析官たちが不可解な難事件を解決していく。映画では、赤城が殺人罪で逮捕されるという衝撃のラストを迎えた連続ドラマ最終回の、その後の展開が描かれている。

テレビドガッチでは、『映画 ST 赤と白の捜査ファイル』 に出演している、STの一員・山吹才蔵役の三宅弘城さん、そして本作のメガホンを取った佐藤東弥監督のお二人にインタビュー。スペシャルドラマ、連続ドラマ、映画と、長きにわたって苦楽をともにしてきたからこそ、とても雰囲気が良いという撮影現場の裏話や、それぞれのSTメンバーを演じる出演者たちのエピソード、作品の魅力や見どころなどを、たっぷり語っていただいた。

【三宅弘城×佐藤東弥インタビューvol.2】

――STのメンバーを演じる出演者の皆さんは、撮影を通じてとても仲良くなったとか。休憩時間には、どんな話をしていたのでしょうか?

三宅:比較的、山吹、黒崎さんに加えて青山さん(志田未来)、翠さん(芦名星)との4人のシーンが多かったので、色々な話をしました。最初のスペシャルドラマの時のことでよく覚えているのは、志田さんがももクロのダンスを踊ってくれて、すごく盛り上がりました。あと、芦名さんは、あんな格好(芦名が演じる結城翠は閉所恐怖症で束縛されることが苦手なため、いつも露出の多い開放的なファッションをしている)してるじゃないですか。その芦名さんが、「初めてのデートの時に、女の子がこの格好してきたらどう思う?」と男性陣に質問して、僕は「そりゃあまあ、黙ってるかな~」とか、窪田くんは「俺はちょっと、時間をかけて変えていきますね」とか、そんな話もしました(笑)。

――個性派ばかりのSTですが、出演者の中で、実際に一番個性的だと思ったのは誰ですか?

三宅・監督:志田さんですかね(笑)

三宅:何と言うか、すごくこだわりがある人ですよね。ある時、芦名さんが、志田さんのお腹がチラっと見えたらしく、「お腹、すごく白くて綺麗だね」と何気なく言ったら、えらい剣幕で「ええ? いつ見たんですか?」と。相当、恥ずかしかったみたいで、しばらくヘコんでましたね。そんな志田さんがかわいくて、現場は和みましたけど(笑)。

監督:志田さんは、普段はとても静かで、無口な方なんです。でも、しゃべりだすと割と止まらなくて、「そんなことまで考えていたんですか!?」みたいなことが明らかになって、ビックリします。すごく面白い人ですね。

――改めて、STメンバーのどんなところが視聴者に受け入れられたと思いますか?

監督:それぞれ、黒い物を赤いと言ったり、嬉しいことを嬉しくないと言ったり、ひねくれ者で素直じゃないところがあって、まあ、変人ではありますよね(笑)。でも、視聴者の方々が、自分の中にも同じような感覚があると思ってくれるような、共感し寄り添ってくれるような人物にしたかった。そういう意味では、ちょっと面倒臭い人たちではあるけど、どこか憎めないキャラクターを作り上げることができたと思います。スペシャルドラマ、連続ドラマ、映画を通して、スタッフ・キャストのみんなで作り、視聴者の方々に見守っていただきながら、一緒に育ててこれたような気がしていて、楽しかったし、良い仕事ができたと思っています。

三宅:そうですね、色々な変化やうねりもあって、ここまできた感じがしますよね。それを引っ張ってきたのは、やはり、藤原くんと岡田くん。二人の撮影現場でのノリが、そのまま、作品としてのノリや雰囲気になってきたんだと思います。

――その二人の、撮影現場のノリとは、どのような感じなのでしょうか?

三宅:つかず離れず。そこはつっこむのに、これはつっこまないんだ、というところがあったり(笑)。傍から見ていても、変にべったりしない、良い関係でしたね。

――三宅さんは、その二人の間にいるとどんな立ち位置でしたか?

三宅:えっと……本当はつっこみたいんだけど、最終的には僕がつっこまれているような感じ(笑)。僕がセリフを噛んだりすると、藤原くんは1番に笑い出しますしね。

監督:芝居で、意表をついてくるのはどっちだろう?

三宅:意外と、岡田くんの方だと思いますね。

監督:役柄からすると逆のように見えるけど、実は違うんだよね。そこがまた、面白い。

――三宅さんは、そんな彼らを役者の先輩としてどのように見ていましたか?

三宅:いや、頼もしいですよ。僕は全然、先輩だなんて思ってないです。お任せできるところはお任せできますし。藤原くんも「三宅さん、これどうやったらいいの?」なんて気軽に聞いてくれて、「こうやってやったら?」と言ったら、「これ、やっぱり違うよ!」と。そんなざっくばらんな会話もあります(笑)。岡田くんは天然ぽいところがあって、そこがすごくキュート。それは見ている方々にも親近感として伝わっていると思いますし、百合根にピッタリですよね。本当に、いいコンビでした。先輩後輩というよりは、見守り、見守られる“仲間”に近いですね。

監督:とにかくこの作品は膨大なセリフが大変だったと思うんですけど、みんな基本的に、現場では完璧にセリフが入っていて、そこからどう芝居をしていこうというレベルでやっていました。もちろんそれは、裏でとてつもない努力をしていたと思うんですね。特に赤城役の藤原さんは大変だったと思いますけど、映画のクランクアップの時に「まだまだ喋り足りない、こんなセリフの量じゃ足りない」と仰って、窪田さんがその後に「喋りすぎた」と言っていて。あれは、面白かったですね(笑)。あと、志田さんも藤原さんに負けないくらいセリフの量があったんですけど、ほとんどNGを出してない。みんな、それがプレッシャーだったとは思うんですね。そんな時に、志田さんがある日、初めてちょっとだけ間違えて。みんな、ちょっとホッとしてましたね(笑)。そんな風に、常に緊張感があった上で、冗談も言い合えるような、本当に理想的な、素晴らしいチームでした。

――いよいよ映画が公開され、STシリーズもいったん一区切りになります。

監督:そうですよね。終わってしまうのが寂しくて、一日でも引き延ばせないものかと思ってるところです(笑)。僕もそうですけど、映画を終わりまで見て、それぞれの方がその続きを想像してくれると嬉しいです。

――できれば、続編もやりたいですか?

三宅・監督:もちろん!

――どんな“続き”を想像していますか?

監督:映画のラストから何年か間が空いていると思うんですけど、彼らがどういう風に成長しているのか、あるいは全く成長してないのかもしれないですけど、変わってないようでいて変わっている、そういうのがちゃんと描けたらいいなと思います。ただ……赤城左門だけは、たぶん成長しないんだろうな(笑)。事件に関しては色々なアプローチの仕方はあると思いますけど、「STのメンバーを、ちゃんと描く」というスタンスは、あまり変えずにできたらいいなと思います。

三宅:山吹は相変わらず、基本的には良識派ですかね。「こぶしを使ってる間は、まだ甘いですよ」みたいな感覚で(笑)。

監督:山吹に関しては映画である種“ネタばれ”してしまったので、そこをいかに封印していくか、というのに知恵を絞っていかないとですね(笑)。

――では最後に、映画の見どころを教えてください!

監督:赤城と百合根はどういう関係なのか、ということが気になって見ている方がいると思うんですけど、ある種、それに対する解答編の作品だと思うんですね、あの二人は、一体何を思って、どういう風にお互いを理解していたのか。その答えを、STらしく、単純ではないように、分かりやすくないように描いたつもりです。赤城と百合根だけじゃなく、百合根と他のSTメンバー4人の関係も含めて、楽しんでくれるといいなと思っています。人間関係のドラマ、シチュエーションドラマ、シチュエーションサスペンス、ハードアクション。色んなものが詰まっています。

三宅:変わり者の集まりだったSTのメンバーが、百合根キャップに出会ったことによって変化し、成長しているところも、シリーズを通して見どころだと思います。あまのじゃくな人間ばかりが集まっているので、なかなか口に出したりはしないんですけど、お互いに対する愛情や、友情を感じている。元々はそういう言葉は絶対に言いたくない、というような人たちだからこそ面白いし、微笑ましい。そんな人間関係に注目していただけると嬉しいです。

監督:そうそう、赤城の「残念だ、謎が解けてしまった」というセリフは、連続ドラマでは段々と表現がエスカレートしていって、途中から毎回、前回を超えてかなくちゃいけなくて、藤原さんが「これ……大丈夫ですか?」となっていることもありました(笑)。このセリフ、映画ではちょっと違う演出にしていますので、そこもぜひご注目下さい!

PICK UP