小芝風花「感じた事をそのまま役に…」ドラマ初主演『ふたりのキャンバス』

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小芝風花さんが主演するヒロシマ8.6ドラマ 『ふたりのキャンバス』が、中国地方先行で、8月1日(火)19時30分から NHK総合テレビにて放送される。※全国放送は、8月5日(土)15時5分から。

本作は、10年前から広島市立基町高校で行われている、被爆体験証言者の記憶にある印象的な場面を描く「原爆の絵」に取り組む高校生の姿を描いたドラマ。自らの想像を超える体験をした人を分かろうと努力することで、成長していく高校生の姿を瑞々しく映し出します。広島市の高校の美術コースに通うごく普通の16歳・柳井里保を演じる小芝さんに、ドラマ初主演への思いや「原爆」というテーマを通して感じたことなどについて、たっぷり語っていただきました。

【あらすじ】
広島市の高校の美術コースに通う里保(小芝)は、憧れのクラスメイト奏美(中村ゆりか)が、「原爆の絵」に取り組むと聞き、自分も参加することにする。被爆体験証言者の記憶に強く残っている場面を聞き取り、何度も打ち合わせを重ねて1年がかりで1枚の油絵を仕上げていく。里保が担当することになったのは、雄造(近藤正臣)。原爆の落ちた日、家族を失い、燃える家を見つめていた時のことを絵にしてほしいと言う。自分の日常とはかけ離れた話をどう描いていいか分からない里保。高校生が自分の話を絵にすることができるのか半信半疑の雄造。対話を重ねるうちに、少しずつお互いを知っていく二人。里保は、奏美とも被爆体験を絵にすることの難しさを共有しながら親しくなっていく。雄造とも、奏美ともわかり合えるようになってきたと思った矢先、里保の言動が、二人との関係を危うくすることに……。

――初めてのドラマ主演、抜擢された時の気持ちは?

最初はプレッシャーもありましたが、今回の熊野律時監督はNHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の時にもお世話になったので、一度お仕事をさせていただいた方から声をかけていただいたことは、嬉しかったですし、監督の期待を上回れるように頑張ろうと思いました。

――柳井里保はどんな女の子ですか?

とても等身大で、私とすごく似ています。とびぬけて頭がいいとか、暗いとか明るいとか極端な性格でもなくて、ごく普通の女の子。ちょっと大人びた同級生に憧れたり、漠然と将来への不安を抱えていたり、感情面でも一般的な反応を示す子だと思っています。台本を読んだときに、役の気持ちがわからずモヤモヤするところがひとつもないくらい、すんなり入れる役でした。

――今回のお話のモデルでもある広島市立基町高校の「被爆体験証言者と描く原爆の絵」の取り組みを知ったとき、どう思われましたか?
最初に台本を読んだ時は、ドラマの設定だと思っていたので、実際に行われている取り組みだと知り、とても驚きました。同年代の高校生たちがそうした活動をされているのはすごいですし、なかなか出来ない経験だと思いました。

――学生のみなさんとの交流などはありましたか?

基町高校で実際に撮影させていただき、生徒さんもエキストラとして参加してくださったので、美術部の子たちと一緒に絵を描いたりさせてもらいました。

――演じるにあたって準備をしたことなどは?

撮影に入る前に、基町高校の生徒さんが被爆者の方とお話されたときのDVDを拝見させていただいたのですが、生徒さんたちの表情を見ると“目が点”になっていたので、戦争によって想像を絶するような出来事が実際に起こったのだな、ということが伝わりました。最初に台本を読んだ時とDVDを見た後ではイメージが変わりましたし、その後、私自身が被爆者の方からお話を聞いた後にもさらに変わったので、何でも自分で体験してみないとわからないなと思いました。

――実際に被爆者の方から体験談を聞いていかがでしたか?

被爆者の方は“思い出したくない過去”を話してくださっているので、身を切る思いで語って下さっているのだろうな、と感じました。また、聞く側も相当エネルギーがいることも実感しました。お話を聞いた後、2~3日は何をするにもその体験談を思い出し、気持ちがついていかないというか……。それだけインパクトの強い体験談でした。ただ、そんな中でも、「今のこういう状態や気持ちをきちんと覚えておこう」と思い、それも役作りに活かせたと思います。だから里保として気持ちを作るというよりは、感じたことそのまま役に活かせたのではないかと思います。これまでも戦争に関する作品を見たり、授業で習ったりすることはありましたが、やはりどこか他人事で、それ以上深く知るまでにはなれなかった自分が本当に恥ずかしくなりました。

――これまで広島に行かれた事は?

今回が初めてです。本当は修学旅行で行けるはずでしたが、お仕事と重なってしまい参加できなかったんです。テレビでよく見ていた「原爆ドーム」はもっと厳重に管理されているのかと思っていたら、開けた場所にあったので驚きました。一見、街の中に溶け込んでいそうな感じもありますが、“特別な存在感”でそこだけ異空間というか……不思議な感じでした。そして、「広島平和記念資料館」にも行かせていただき、沢山の資料も拝見させていただきました。この資料館には、被爆されて亡くなる直前に書いたメッセージが残されており、それを読んでいるだけでも胸が締め付けられるような感覚になりました。このような出来事を、どうやって私は次の世代に伝えていったらいいのか考えていたら、お話をしてくださった方が、「あなたはあなたができる方法で(次の世代に)伝えていってください」と言ってくださったので、私はこのドラマで伝えていけたらと思います。

――広島弁でのお芝居については?

方言指導の先生がいらっしゃって、事前に私のセリフを全部録音してくださり、それをずっと聴いて覚えました。私は大阪出身で、テレビなどで関西弁のドラマを見ていると、イントネーションの違いにウズウズすることがあると作品どころじゃなくなるんです(笑)。なので、共演者の方とも何回も確認しながらお芝居をしました。

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