高良健吾「自分の中に芽生えたものは一生の財産」『花燃ゆ』ブルーレイ&DVD第壱集が発売

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井上真央がヒロイン・文を演じる、2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』(NHK総合 毎週日曜20:00)のブルーレイ&DVDの第壱集が8月19日に発売される。本作は、幕末を舞台に吉田松陰の妹・文(のちに美和)の人生を通し、幕末の動乱を描いた超大作。どんなことがあっても松陰を見捨てず支え続ける家族、松下村塾での学園ドラマ、文に待ち受ける女の戦い。そして、幕末志士たちによる命懸けのドラマをテーマとして取り上げ、幕末史に残る様々な事件の裏側と若者たちの青春群像を壮大に描いた幕末時代劇だ。

この度、高杉晋作役を熱演して話題となった高良健吾さんにインタビューを行い、本作の魅力や役作りで意識したこと、今後の見どころなどについてたっぷり語っていただいた。

――ご自身のパートは無事クランクアップ! 撮影を振り返り今はどんな心境ですか?

高良:クランクアップの日は“嬉しい”という気持ちや達成感よりも、寂しいという気持ちが強かったです。すべてが終わって、やっと実感が湧いてきました。おそらく、現場と一緒にオールアップでも寂しいと感じたと思います。でも、この作品に出演したことで、松陰先生の言葉や、高杉さんが残したものから自分の中に芽生えたものは一生の財産になったと思います。

――例えばどのようなことが印象に残っていらっしゃいますか?

高良:“至誠”という言葉や、自分の命の使い方です。松陰先生をはじめとする方たちは、未来のために、自分の命をかけて色々な事をやっていました。それは、自分たちのためではなく、日本や藩、長州のためにおこなったことです。当時の人々からは煙たく思われていた部分もありましたが、今では英雄とされていて、神社が建っていたりもしますから、この生き様や命の使い方、志というのは、それだけ多くの人に影響を与えているのだと思います。至誠を持って何かをやる、何かを残そうとすれば、今この瞬間ではなくても、いつかきっと伝わるのではないでしょうか? 僕は、『花燃ゆ』という作品にも、そういうことがどこか投影されているのではないかと思っています。もし今小学生や中学生、高校生の子たちが、この作品で至誠という言葉を知り、松陰先生をはじめ、高杉や久坂たちに少しでも興味を持ち影響を与えることが出来たとしたら、すごく意味があることです。ですから、僕たちも常に本気でこの作品に向き合おうという気持ちを持って挑みました。

――松陰先生が「君の志はなんですか?」と問う場面がすごく印象的でした。高良さん自身が“志”という言葉を初めて意識した時のことを覚えていらっしゃいますか?

高良:松陰先生に尋ねられたときに、「それはなんだろう?」とあらためて考えさせられました。きっと以前から自分の中に抱いている思いはあるのでしょうけれど、志を言葉として意識したというなら、この現場です。

――その時、自分の志は何だと思いましたか?

高良:この現場で言うなら、高杉晋作という人物を最後までちゃんとやりきるということです。高杉の命は短いかもしれないけれど、それを『花燃ゆ』でやろうとしたことです。これまで僕が観てきた高杉晋作という人物は、奇兵隊を作り全部を成し終えた後の話でした。だけど、今回は松下村塾に入る前からの役だったので、何者でもない男から、みなさんがご存じの“高杉晋作”になっていくまでを丁寧に演じたいと思いました。

――高杉晋作という男の変化も見どころのひとつですね。

高良:はい。その過程を描くということが、僕がこのドラマで一番やらなくてはいけないことで、僕がやる意味はそこだと思いました。高杉晋作という人物は、最後の最後まで、自分の気持ちを分かってくれるのは庭の雑草だけ、という詩も残しています。とにかくかっこいい……というだけではなくて、寂しさや繊細な表現も僕がやりたかったことです。

――実際に演じてみてその人物像に対して発見はありましたか?

高良:演じる前から細かいことを決めていたわけではありませんが、発見だらけです。やってみなければわからないもので、「高杉はすべてやりつくして死にましたよね」っと言われた時、本当にそうなのだろうかと感じました。もっと世界を見たかったのでは? もっと武士として死にたかったのでは? という気持ちになりました。

――高杉がやり残したことはどんなことだと思いますか?

高良:外国に行きたかったのはないでしょうか? その経験を日本のために使いたかったのだと思います。生きていたとしたら山県狂介ではなく、高杉が海軍や軍隊を率いていたかもしれないですね。

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