ハンセン病の歴史から差別・偏見のない社会を作るヒントを探る

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経済格差の拡大、人間関係の希薄化など、不安だらけの現代社会……「生きづらさ」を抱える全ての人に向けた新しいスタイルの福祉番組『ハートネットTV』(NHK Eテレ毎週月~木 20時~20時29分)。6月4日はゲストにサヘル・ローズらを迎え、シリーズ戦後70年の第5回「ハンセン病の戦後~人間回復への道~」を放送する。

日本の福祉の課題を紐解いていくとその特徴に、「(自分たちと違う人は)地域で暮らすのではなく隔離・収容する」という発想が浮き上がってくる。最たる例がハンセン病に対する政策だった。

ハンセン病に対する誤った考え方によって患者たちは戦前から強制隔離政策によって、全国の療養所に収容され、結婚する場合には断種手術を強制されるなど人権侵害にさらされてきた。1943年に特効薬が開発され不治の病ではなくなり、患者や国際社会からの批判があったにも関わらず、隔離政策は戦後も続けられた。ようやく「らい予防法」が廃止、隔離が終わったのは1996年、患者による国家賠償訴訟で隔離は人権侵害だと認められたのは2001年のことだ。

かつて療養所で暮らしていた元患者の森元美代治さん(77)は、病気への無理解や根強い偏見、患者の自由や人権より制度の存続が目的になったことなどが重なり隔離は続いたと言う。そしてそれは「ハンセン病に限ったことではない」とも。隔離収容の歴史とそのことがもたらしてきた課題を見つめ未来へのヒントを探っていく。

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