「仲里依紗の波子は憎々しさ3割増し!」エスムラルダが『黒革の手帖』の敵役を解説

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みなさん、こんにちは。アタシの名はエスムラルダ。新宿二丁目を中心に活動している、テレビドラマが大好きなドラァグクイーンよ。以後よろしくね!

突然だけどみなさんは、ドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系列、毎週木曜21:00~)をご覧になっているかしら。

「勤めていた銀行から横領した金と、脱税している金持ちを強請って得た金を使い、銀座でのし上がっていく女」を描いた『黒革の手帖』は、過去に何度もテレビドラマ化されている名作で、ゲイの間でも大人気。なぜか「強い女」「悪い女」「ビッチな女」が好きなゲイって多いのよね(実際にそういう女が身の回りにいたら、めちゃくちゃ仲良くなるか、大ゲンカするかのどっちかだろうけど)。

ちなみに、主役の原口元子は、過去に山本陽子(39歳)、大谷直子(33歳)、浅野ゆう子(36歳)、米倉涼子(29歳)が演じているんだけど(年齢は当時)、今回の武井咲ちゃんはなんと23歳。そのため、放送前はアタシのゲイ友達の間でも「さすがに若すぎるんじゃ……」と心配する声が上がっていたわ。でも、今ではみんな、咲ちゃんの和服姿の美しさ、これまでの咲ちゃんのイメージを覆す、堂々とした演じっぷりを堪能している様子。

さて、いろいろな楽しみ方ができる『黒革の手帖』だけど、「次々に現れる元子の敵を、誰がどのように演じるか」も、見どころの一つ。そこで、今回の咲ちゃん版に関して、「注目すべき元子の敵・ベスト(ワースト?)3」を、独断と偏見で選んでみたわ!

■第3位 橋田常雄(高嶋政伸

大手予備校の理事長。元子にベタ惚れで、身体の関係を持つよう執拗に迫るが、裏口入学で得た利益を借名口座に預金していることをネタに強請られ、元子を恨むように。粘着質な小悪党役が上手すぎる高嶋政伸が、今回も橋田のいやらしさを生き生きと表現。その演技だけで、ご飯3杯いけるわ!

■第2位 中岡市子(高畑淳子

美容外科クリニックの看護師長で、院長の愛人。長年尽くしてきた自分をないがしろにし、若い愛人(波子)に多額の金を貢ぐ院長に腹を立て、院長の脱税の証拠を元子に渡すが、のちに「利用された」と気づき、元子を恨むように。「せっかくダメ男と別れることができたのに、結局男への未練が捨てきれず、“余計なことをしやがって”と、別れさせてくれた人を憎む」。そういう人って、実際に結構いるわよね? 他人の色恋のもめごとには、首を突っ込まぬが吉。そんな市子の強さと弱さを、高畑淳子がさすがの演技力で的確に表現。黒化した後の市子がかなり怖く感じられそう。

■第1位 山田波子(仲里依紗

銀行で派遣社員をしていたころの、元子の同僚。クビになり、ティッシュ配りをしていたところを拾われ、元子の店のホステスに。最初は地味でパッとしない女だったが、男を手玉にとる術を身につけ、美容外科クリニックの院長の愛人に。調子づいて元子と張り合い、自分の店を出そうとするが、その計画をつぶされ、元子を恨むように。原作の波子も相当嫌な女なんだけど、設定の変更と、「ヤバい女」を演じるとハマりすぎな仲里依紗のおかげで、今回は憎々しさが3割増しになっているわ。

いやあ、こうして見ると、みんな本当にクズね! 元子がやってることも褒められたものじゃないけど、橋田はともかく、市子と波子は、かなり元子に世話になっているのに、逆恨みもいいところ……! そして、敵たちのクズっぷりが際立てば際立つほど面白いのが、『黒革の手帖』。今回のキャストのみなさんも、ほんと、いい仕事をしていらっしゃる。

もちろん、ここに挙げた3人以外にも、元子のせいで左遷された銀行員・村井亨(滝藤賢一)や、ラスボス臭漂いすぎな長谷川庄治(伊藤四朗)など、元子の周りは強敵だらけ。しかも中盤からは、元子の恋敵(?)の堂林京子(江口のりこ)、新たに元子の店のホステスとなった島崎すみ江(内藤理沙)など、一癖も二癖もありそうなキャラが新たに追加!

元子の思い通りに事が運んでいく前半とは打って変わって、こいつらの元子への逆襲が待っている、後半戦。原作は、元子贔屓のアタシにとっては残念な展開になっているけど……ドラマ版ではきっと、別の流れが用意されているはず。頑張れ元子! アンタが、最後にはクズどもをぎゃふんと言わせてくれるのを期待してるよ!(まあ、元子もたいがいクズっちゃクズなんだけど)

【文:エスムラルダ】

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