野際陽子さん『やすらぎの郷』最後の出演シーンに「女優魂を感じる」

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6月21日に放送された『やすらぎの郷』(テレビ朝日系列、毎週月~金 12:30~12:50)にて、故・野際陽子さんの最後の出演シーンが流れ、ネット上で注目を集めた。

この作品は、テレビ朝日と脚本家の倉本聰がタッグを組み、新しい挑戦として新設する帯ドラマ枠(ゴールデンタイムならぬシルバータイム)の第1弾。テレビの全盛期を支えた俳優、作家、ミュージシャン、アーティストなど“テレビ人”だけが入居できる老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada(ラ・ストラーダ。イタリア語で“道”の意)」を舞台に、石坂浩二が演じる、かつて一世を風靡したシナリオライター・菊村栄を中心に、このホームに入居した往年の大スターたちがさまざまな問題に直面する姿をユーモラスに描いている。

58話では、野際さん演じる井深凉子から2人っきりで話をしたいと小料理屋「山家」に誘われた菊村(石坂)がある衝撃的な事実を聞き、対策を講じるところから始まった。

その事実とは、井深のもうひとつの顔である小説家“濃野佐志美”として書いた小説「散れない桜」のドラマ化が決まったということだった。「散れない桜」は、“やすらぎの郷 La Strada”の創始者である加納英吉と、九条摂子(八千草薫)の過去の話を題材に、九条に黙ってフィクション化したもの。その中には、終戦間近の男基地に九条ら有名女優が駆り出され、翌日に特攻を控える男性たちと最後の晩餐をとった記述が書かれている。当時、九条は周りから相当なバッシングを受けており、九条が悲しむのではと考えた菊村が、井深を説得し破棄させていた作品だった。しかし出版社側が原作を一部所持。その本がテレビプロデューサーの目に止まり、今回のドラマ化が決定してしまったのだ。

井深は「史実だけが一人歩きしてるの。だから私が原作者として拒んでも、歴史上の事実を拒むわけにはいかないわ。多分、テレビ局は事実だけを洗い出してドキュメントにする」と分析。菊村は九条が生き証人としてピックアップされることを懸念する。

ここで井深は、九条が大ファンである若手俳優・四宮道弘(向井理)を特攻員役でドラマに出演させ、説得をしてみようと提案。秘策を聞いた菊村は「どっちの味方なんだ?」と疑問を投げかける。井深は「“散れない桜”を売りたいわけじゃない。ただあの頃そういうことがあったっていうのは史実として後世に残したいじゃない」と訴えた。数日後、ホームでは、四宮が来ると噂になり大騒ぎ……という展開だった

野際さんの出演シーンは冒頭のみ。ネット上では「声が震えている」「声をはる台詞が辛そうだな」と気遣うコメントや「体調が悪かったと感じさせない演技。素晴らしかったです」、「最後の演技に女優魂を感じる」といった演技について称賛する声で溢れていた。

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