つんく「人生やりがいがある」 黒柳徹子とパソコン筆談で現在の心境明かす

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喉頭がんの治療で声帯を摘出した音楽プロデューサーのつんくが、3月21日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系列、12:00~)に出演。司会の黒柳徹子とパソコンを使った筆談でトークで、声を失いながらも、新たな人生の“一回生”として前向きに生きる姿を披露する。

命を取るか、声を取るか……。つんくがこの選択を迫られたのは2014年の秋のこと。歌手でもあるつんくにとって、声は大切な商売道具でもあり、失う痛手は想像を絶するが、つんくは、生きる道を選んだ。

2015年の4月、母校である近畿大学の入学式に出席し、声を失ったことを公表。「私も声を失って歩き始めたばかりの1回生。皆さんと一緒です」と、自らを新たな人生の入学生になぞらえ、自分にしかできないことを追求していこうというメッセージを学生たちに送った。それ以後、少しずつではあるものの音楽活動を再開し、公の場にも姿を見せるようになったつんくだが、『徹子の部屋』への出演は、実に11年ぶりとなる。

つんくが同番組に、シャ乱Qとして出演したのが1996年(28歳の頃)。今回は、単独出演の2005年(同37歳)に続き3回目だ。今回は、つんくが打ち込むパソコンの画面を、スタジオに設置したモニターに映し出す方式で進行。つんくのパソコンには、黒柳から見える外側に、黒柳がシンデレラに扮した番組のイメージステッカーが貼付されており、さりげない気遣いが黒柳の顔をほころばせる。

トークは、黒柳が以前、つんくに楽曲提供を依頼した際、つんくから言われて自分の声帯の写真を提出したというエピソードからスタートする。歌、芝居、トークとさまざまな声を使い分ける黒柳らしい、特徴ある声帯だったと、つんくの見解が明かされる。また、近畿大学の入学式でメッセージを送ったことに関し、つんくは「学生のための入学式だったので、どんな話をするか迷ったんですが」としつつ、「僕が僕のことを正直に伝える」ことや、自分の子どもたちに向けて「ステージに立つお父さんの姿を久々に見てもらいたい」との思いから、壇上に立った経緯を語る。

そして、手術後の生活については、食べ物が喉を通らなくなり一時期やせてしまったこと、結婚するときはおとなしそうだった妻が力強く自分や子どもたちを支えてくれていることなど、時おりジェスチャーを交えながら笑顔で黒柳に伝える。

さらに、音楽活動再開後、初めての作曲依頼となった「うまれてきてくれてありがとう」を、歌手のクミコを迎えて披露。自身はギターを片手に、時には歌詞に合わせて口を動かしながら、昨年の『輝け!日本レコード大賞』で作曲賞に輝いた子守唄も演奏。演奏前、「ベスト10には出れなかったけど、徹子さんの前で演奏できるので、なんか楽しみです」と打ち込み、黒柳に心境を明かしつつ、演奏後は、満足げな表情を浮かべた。

番組最後に、つんくは「今が幸せという言葉が100%正しいというわけではない」という、正直な胸の内を明かしながらも「人生やりがいがあるなと思っています」「僕のできることを探して、世の皆様と共有できたらと思います」と、前向きな言葉を残した。

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