山崎まさよし、『映画ドラえもん』主題歌は「のび太の成長」がポイント

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映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が、3月5日(土)より公開。35周年という節目を終え、36作目として新たなステージへと進むシリーズ最新作に注目が集まる。

映画第1作目が公開された1980年から常に進化を続けている『映画ドラえもん』シリーズは、“ファミリー映画の金字塔”として不動の地位を確立。1989年に公開された『のび太の日本誕生』はシリーズ歴代1位動員数420万人を誇る大ヒット作品。そんな作品を新たに生まれ変わらせるのが、2014年に『新・のび太の大魔境』を手掛けた八鍬新之介(脚本・監督)だ。丁寧なキャラクター描写に定評があり、今作でもその手腕に期待が高まる。

公開に先駆け、同映画の主題歌「空へ」(3月2日発売)を歌う、シンガーソングライター・山崎まさよしさんにインタビュー。昨年20周年を迎え、現在「“Twenty First Century Men”TOUR2015-2016」全国ツアー真っ最中の山崎さんに、“ドラえもん”との思い出や、映画の見どころ、楽曲に込めた思いなど、たっぷり語っていただきました。

――主題歌のオファーが来た時のご感想は?

とても光栄なことです。アニメーション映画に曲を書き下ろすことも初めての経験ですしね。ドラえもんは、子どもに大人気の作品でありながら、大人のファンも大勢いらっしゃいます。この間、秦くん(秦 基博)が主題歌を歌った映画『STAND BY ME ドラえもん』では、大人も泣けるという評判も聞きましたので、ファン層が広いんだろうなという印象も受けました。

――36年目を迎えた映画ドラえもんですが、山崎さんも昨年デビュー20周年! タイミング的にも今回のお仕事はいかがでしょう?

まだまだドラえもんに負けていますね(笑)。21年目のお仕事としては、とても嬉しいです。もし僕に子どもがいなかったら、「僕が主題歌を歌っていいのかな?」という気持ちも多少あったかもしれませんが、タイミングもよくいいお仕事をいただけたと感じています。今回は特に“ブレない歌が書けた”というふうに思いました。

――主題歌を作るにあたって脚本やイメージはどのくらい重要視されましたか?

監督とお会いして色々お話しましたね。最初に、「どんな感じの曲が良いでしょうか?」と尋ねたら、今まで僕が発表してきた歌を上げてくれて、大体のイメージは掴めましたが、この映画は、まずタケコプターに始まり、飛ぶシーンがたくさんあるので“飛翔感のあるメロディを”というオーダーがあり、そういうところから取り掛かりました。

――タイトル「空へ」や楽曲にはどんな思いを込めたのでしょうか?

“のび太の成長”がひとつのポイントで、飛翔感や巣立ちを意識しています。劇中、のび太がペットの母親代わりになり世話をしたり、出会いと別れを経験して、少しずつ成長していきます。鳥にとっての空は、人間にとって社会にでることなのかなとも思い、そういう目線で歌の内容を固めていきました。

――制作は順調でしたか? 

オリジナル作品と違って、歌を書き下ろすとなると、この“ドラえもん”という存在は大きいですね。「作品と歌があっているかな?」と思いましたが、過去作品とあわせて観てみたら、(出来た曲が)そんなにかけ離れていない感じだったので「よかった」と思いました。

――実際、エンドロールをご覧になっていかがでしたか?

普通のアニメじゃなくて、絵コンテのようなタッチのイラストが使われていて、すごく味のあるエンドロールに仕上がっていました。物語をもう一回彷彿させるような絵といいますか……。僕が言うのもなんですが、とてもマッチしていると思いました。

――子どもさんたちを意識してお作りになりましたか?

以前、子ども番組に書き下ろしたことがありますが、その時は対象年齢を考えて、ある程度分かりやすく、子どもたちにも浸透するようなものをイメージしましたが、今回は映画ですし、子どもの横には大人もいるだろうなっていうのもあって……。だから、子どもの目線に合わせるということは、あまりやらない方がよいのでは? 逆にできないんじゃないか? と思いました。それよりも、子どもが「この歌、どういう意味なの?」と聞いたら、親が教えるような歌でいいんじゃないかな、と思いました。今回の歌は、「サヨナラの陰に痛みを知る~」という達観した歌詞もありますから、子どもたちが口ずさんでくれたとしても、意味はあまりわからずに歌っているかもしれませんよね(笑)? そこはおそらく、自分の目線というか、年相応なところが引き出しとしてありました。

――歌い方がいつもより柔らかい印象を受けたのですが、工夫された部分はありますか?

僕の歌って、(人が)歌いにくいものが多かったり、難しいと言われたりすることがありますが、今回の楽曲は、歌詞の内容はどうであれ、口ずさんだりできるメロディがいいかなと思って作りました。ここでは歌の個性よりも、エンドロールの全体が大事ですから、それを邪魔をしてもいけないと思いながら歌いました。

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