水谷豊、“相棒”反町隆史と新シリーズを語る 長続きの秘訣は「常に、今」

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誕生から15年を迎えるテレビ朝日の国民的刑事ドラマ『相棒』。その新シリーズ『season14』が、いよいよ本日(10月14日)初回2時間SP(20:00~22:09)でスタート。先駆け、杉下右京役の水谷豊と右京の新相棒として注目を集める冠城亘(かぶらぎ わたる)役の反町隆史がインタビューに応じ、お互いの印象や作品の魅力、初回SPのみどころなどを存分に語った。

今年、3月18日に放送された『相棒season13 最終回2時間スペシャル ダークナイト』で、成宮寛貴が演じた3代目“相棒”の甲斐享が、逮捕されるという衝撃的な結末で大きな反響を呼んだこのシリーズ。その後、早くも「4代目“相棒”は誰?」と注目が集まる中、7月18日、反町が4代目“相棒”に決定したことが発表され、大きな話題となった。主演の水谷も「出会うべくして出会った相棒」とコメントしており、更なる相棒ワールドの進化に期待を寄せた。

その後、8月10日には、冠城亘という役名に合わせて役柄も発表。これまで、初代の亀山薫(寺脇康文)、二代目の神戸尊(及川光博)、三代目の甲斐享(成宮寛貴)といった歴代の相棒は、全員が警察官であったにも関わらず、冠城は法務省のキャリア官僚で、初めて警察官ではない経歴を持つ人物が右京の相棒として誕生する。ネットでは「どんなキャラか楽しみだな」「どういった『相棒』ワールドになるのか、今から楽しみ」「観なきゃこれは!」と、期待する声が多く飛び交った。

初回2時間スペシャル「フランケンシュタインの告白」で注目すべきは「杉下と冠城はどのようにして出会うのか」「前シリーズで無期停職となった右京の処遇はどうなっているのか」「住人がいなくなった特命係の現在の姿は?」の3つ。今回の貴重なインタビューから、そのヒントとにもなるコメントも飛び出した。

■水谷豊と反町隆史、初共演について

――今回が初共演のお二人ですが、演技の手応えや感想は?

水谷:撮影というのはダメだったらもう一度できるわけです。ところが、それがわかっていても本番になるとプレッシャーが襲ってくるものです。特に相棒は長回しが多いので、“心が折れる”人もいるんですね。でも、ソリ(反町)は折れない。心が強いですね。

反町:相棒は他のドラマに比べてカット割りが少なく一連で撮るとは聞いてはいました。最初はなかなか慣れませんでしたが、水谷さんがメンタル的にケアをしてくれたので、やっと慣れてきた感じです。この作品は、右京さんがどう事件を解決していくかが大きな楽しみですよね。僕も台本を読みながら、水谷さんならこういう芝居をするかなというイメージを作ってみるんですが、実際に芝居が始まるとイメージとは違ったものが生まれてくる。現場で生まれるセリフには説得力があります。そこが、水谷さんが長年やって作り上げてきた芝居なんだなと改めて実感しています。

水谷:僕はソリの若い時の作品も、最近の作品も拝見していますが、年相応に良くなる俳優の理想をいく数少ないひとりですね。共演してみたいと思っていましたし、とても楽しみだったんですよ。演じていて感じるのは、いろんなことを経験してきているんだろうなということ。人間的に優しいですし、芝居って追い詰められるとその人そのものが溢れ出てくるものだと思うんですけど、そこが魅力的で面白いです。

反町:水谷さんに驚かされたのは、ドラマの全体がすべて頭に入っていること。まったく台本を見ないんですよ。セリフだけじゃなく、次に何を撮るかもすべてわかっている。それは本当にすごいです!

――お互いの印象は?

水谷:右京は物知りですが、僕個人は世の中のことをあまり知っている方じゃない。ところが、ソリ(反町)は何を聞いても答えてくれる。質問して間髪入れずに答えてくれるのは、石坂浩二さんとソリだけですよ。携帯で調べるよりも早いです(笑)。

反町:影で携帯で調べているんですよ(笑)。水谷さんは愛情が深いんです。朝一番で毎回、スタッフ全員と握手するんです。「おはよう」と言いながら。僕は「いつ撮影が始まるのかな?」って思っている(笑)。撮影が終わったらまた、「お疲れ様」と握手。それくらい愛を持って接している。素晴らしいですよね。芝居や作品への思いは当然なんですが、後輩として見習っていかなければならないと思います。

――水谷さんは反町さんを「ソリ」と呼んでいるんですね

水谷:いえ。その時によって「リーソー」だったり「タカーシ」だったり。気分で変わっちゃうんです(笑)。

反町:たまに呼ばれていることが分からない時があります(笑)

■誕生から15年を迎えた『相棒』について

――誕生から15年が経った相棒について思うことは?

水谷:40代で始まって、50代から60代になって……、こんなことってあるんですねという感じです。こんな俳優生活は想像もしていなかったです。続けようと思ってできることではないので、素晴らしいことが起きているなと思います。最近では、水谷さんより右京さんと声を掛けられることの方が多いかもしれませんね。ときどき「水谷さん」と呼ばれると新鮮です(笑)。

反町:僕にとって古くからの作品に途中から参加するというのは初めての経験。出演が決まった時には、たくさんの方から「おめでとう」と言われたのが印象的でした。それだけ多くの方から支持されているんだと実感すると同時に、歴代の相棒がいらっしゃる中で、自分はどのような立ち位置で作品に関わっていくのだろうかという不安にもかられました。現場ではもちろん緊張もあります。でも、肉厚な作品を作っていくには、いい意味でこの緊張を持続していく必要があるかなと感じています。

――長続きの秘訣は?

水谷:さきほども言いましたが、続けようと思って続くものではない。実際に、相棒は将来に向かっての綿密な計算は何もしていないんです。常に“今”を意識しています。今、世の中で起きていることに呼応し、相棒は生きている。だから、いつもギリギリの状態。それがスリリングな緊張感となって、見る人を裏切らない作品につながっていくのだと思います。

■気になる第1話について

――特命係の現在は?

水谷:特命係があんなことになっているとは思いませんでしたね。僕は無期停職処分中で、自由に警視庁に出入りしちゃいけない身分なんですね。その間に、あんなことになっているじゃないですか……あれ、質問に何にも答えていないですね(笑)

反町:「あんなこと」だけ(笑)。でも、どこから話したらいいのか。キャストとスタッフが一丸となって作り上げた作品で、しっかりした内容になっていると実感しています……。ちょっと質問から逸れましたか?

水谷:逸れたね(笑)。お互い、質問にはまったく答えていないね(笑)

――右京と亘のコンビネーションは?

水谷:とても面白いですよ。誰とも知らない二人が出会うわけですからね。おそらく、作品を見てくだされば新鮮さをそこここに感じられると思います。まず、今までと違って相棒が警察官ではない。振る舞いも違うし、警察手帳も当然持っていません。その違いを冠城君は分かっているんですね。だからとても自由奔放。

反町:亘は頭のいい人間。ただ、演じるにあたっては、一般的な官僚役の硬いイメージを崩したいと思っています。全体のストーリーは右京さんが追ってくれるので、自分は現場でできるだけ亘の感覚を大事しながら会話を楽しむことに徹しています。

――相棒のほかのキャラクターとの関係性はいかがですか?

水谷:警視庁の人間からすると、いきなり法務省から異物が入ってくるわけです。そして、なんといっても先輩と後輩の関係がありませんからね。

反町:そうですね。なので、暴れまくっています。

水谷:ある意味、小気味いいですし、ある意味、快く思わない人もいるかもしれない。

反町:噛みついていますからね(笑)。

――最後にメッセージを

反町:第1話は特に重厚な作品になっています。どう物語が進んでいくのか、台本を数回読んだくらいでは、この先どうなるんだ? と思うくらいに複雑で、壮大なスケールを楽しんで欲しいと思います。

水谷:ところで、ソリ、こういうメッセージって得意じゃないでしょ?

反町:はい(笑)

水谷:僕もそうなの(笑)。似てるなと思って(笑)。でも、第1話はかなり面白いですね。良くできていて、法務省絡みの内容です。多くのみなさんからの期待は僕の耳にも届いています。その期待に応えるべく、できる限りのことをみんなでやっています。あとはみなさんがどう楽しんでくださるか。僕に心配はありませんし、みなさんの期待もきっと裏切らないと思います。

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