佐藤浩市、“とんでもない行動”を起こす天下り官僚を熱演

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俳優の佐藤浩市が、テレビ朝日のドラマ特別企画で初ドラマ化される浅田次郎原作の『ハッピー・リタイアメント』(2015年 秋 放送予定)に主演し、“とんでもない行動”を起こす、天下り官僚を演じることがわかった。

『蒼穹の昴』、『鉄道員』、『天国までの百マイル』など、次々とベストセラー小説を世に送り出してきた浅田次郎。そんな日本が誇る大作家が自らの体験に着想を得て、上梓した長編エンターテインメント小説『ハッピー・リタイアメント』(幻冬舎文庫)が、佐藤を主演に迎え、2015年満を持して初映像化される。

佐藤が演じる主人公は、元ノンキャリア官僚・樋口慎太郎。30年以上も勤めた金融庁で、不意に上司から収賄の罪を擦り付けられ、愛する家族にも逃げられてしまう。そんな彼に用意されていたのは、何も仕事をせずとも高給が得られる、一見“天国のような天下り先”であった。再就職先であるJAMS(=全国中小企業支援機構)の業務は、中小企業や個人事業主が銀行から融資を受ける際の保証人となり、最悪の場合には国庫から捻出した金で返済を肩代わりすることだが、慎太郎には何も仕事が与えられない。やがて彼は働かない日々に耐えられなくなり、似た境遇の仲間とともに、自らの仕事を見つけて動き出す。その仕事とは、すでに時効となった借金を回収すること。しかも、“経理上存在してはいけない”その金をこっそり山分けしようという、とんでもない計画を立ててしまう。ただし、真の目的は私腹を肥やすことではなく、“自分たちを陥れた汚い権力者へのリベンジ”だった。

「浅田次郎先生は作品ごとに作風や文体を変えられるので、非常に面白い!」と語る佐藤。今作については、「これまた異色の作品。この“ある種奇想天外な物語”を変な理屈は抜きにして、打ち上げ花火みたいにドカンと突き通して見せることを念頭に演じよう、と思いました。と同時に、根底にある“天下り”というネガティブな要素を非常にアイロニカルに捉えて笑い飛ばせる作品だということを、我々も意識して演じるべきなのではないか、とも感じましたね。老若男女問わず、見終わった後に自分たちのこと、未来のこと、家族のことについて少し話ができるドラマになると思います」とコメントしている。

また、慎太郎を演じるにあたり、佐藤は制作サイドにお願いしてセリフを少し変えたと話す。例えば、「慎太郎の“(組織の)駒じゃない”というセリフも、“駒に過ぎない”に変えていただいたんです。というのも、口にしないまでも、そう思って生きてらっしゃる方が大勢いらっしゃる中、“駒という生き方もありなんだな。自分たちが駒じゃないと、世の中は結局回っていかないんだ”と思っている人物であった方が、この物語においてはいいと思ったからです。また、家族とのシーンでも、セリフのニュアンスを変えさせていただきました。慎太郎自身が“家族のために働いてきた”というのがあくまで言い訳であって、妻や子に邪険にされる要因は“お父さんという幹”の中にも幾つかあったのだと気づかないと、説得力がないと思ったからです。そんな慎太郎を、今回は軽くコミカルに演じています。物事はすべて表裏一体。視聴者の方々はきっとその裏側を感じてくれるのではないか」と期待を寄せている。

共演は、慎太郎の妻・佳子役に浅野温子。慎太郎は、家族のことを誰よりも愛しているのに、家族への愛もちっとも伝わらず、遂には佳子、そして2人の子どもにも逃げられる始末。そんな彼が家族の愛を取り戻そうともがく姿もまた、時に滑稽で、時に胸を打つ要素となっている。

また、慎太郎とともに一世一代の賭けに出るJAMSの仲間に扮するのは石黒賢と石田ゆり子。石黒は元ノンキャリア自衛官・大友勉を、石田は元銀行員・立花葵をそれぞれ熱演するが、この2人との共演に、佐藤は、「石黒さんはデビュー当時から知っていて、たまに食事やゴルフにも行くなど、32年にわたる旧知の間柄。そういう関係性は徐々に親しくなっていく間柄を演じる上で、演技以前のコンビネーションとして滲み出ると思いますし、楽しみで仕方ありません。また、ゆりちゃんとは映画『誰も守ってくれない』(’09)以来の共演となりますが、彼女にはいわゆる“和物”的なものとはちょっと違う、不思議な佇まいがある。そんなお2人との掛け合いを通し、何が生まれてくるかも楽しみですね」とコメントしている。

石黒演じる大友は言動の一つ一つが暑苦しくてスマートさとは縁遠い男、一方の葵は頭脳明晰で美人だが物言いは冷たいクールビューティー。石黒も石田も各々、自身のイメージとはかけ離れた役どころで新境地を開拓。そんな2人と主演・佐藤の抜群のコンビネーションも必見だ。3人は息ぴったりの軽妙な掛け合いを展開しながら、慎太郎と葵をJAMSに天下りさせた張本人である、ずる賢いキャリア官僚・矢島純彦(八嶋智人)に立ち向かっていく。

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