中村俊輔、香川真司、宇佐美貴史らがU-22日本代表にエール!

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本日(7月1日)行われるサッカーU-22日本代表の『リオ五輪最終予選強化試合 日本×コスタリカ』を直前に控え、かつて若き日本代表として日の丸を背負いオリンピック予選を戦いぬいた前園真聖、中村俊輔選手、柏木陽介選手、香川真司選手、宇佐美貴史選手から応援コメントが到着。

■前園真聖「日本代表の誇りを持って自分たちのプレーを!!」

高校卒業後、Jリーグに入って代表に選ばれた当時の心境を前園はこう語る。「ちょうどプロ化になった年で、プロになって初めてのオリンピックという事で皆モチベーションが高かったと思います」。その後、1996年アトランタ五輪に向けた最終予選にキャプテンとして出場。1968年メキシコ五輪以来28年ぶりに五輪出場が決まるという極限状況のロッカールームでは、「多少のプレッシャーはありましたけど、『僕らが新しい時代を切り開くんだ』『僕らが世界に飛び出すんだ』という強い気持ちを全員が持っていたと思う」と語る。そして自身が2ゴールし突破を決めた準決勝サウジアラビア戦については、「この試合に勝てばオリンピック出場が決まるという大事な試合でした。当時アジアの中ではサウジアラビアが強かったので。非常に苦しい時間帯で暑さもありましたけど、最後まで気持ちを切らさずに、という気持ちはありました」と当時を振り返る。アトランタの本大会初戦、ブラジルから大金星を挙げた試合は「マイアミの奇跡」と評されていいるが、今のU-22日本代表に向けては「僕らのときと違って『出場できて当たり前』というプレッシャーがあると思いますが、国を背負ってピッチに立っているんだという日本代表の誇りを持って自分たちのプレーを出して欲しい」と力強いエールを送った。

■中村俊輔選手「オリンピックでそこそこのプレーが出来たとしても、世界では通用しない!」

中村選手(現 横浜F・マリノス)は、1999年に行われたシドニー五輪予選で、最終予選を無敗で勝ち上がった。五輪本選でもグループステージを突破しベスト8に進出し、のちに2002年日韓ワールドカップの主力となる選手たちで構成されたチームであった。「僕の時は一学年下のメンバーに『黄金世代』と言われる、シンジ(小野伸二)、イナ(稲本潤一)、ミツオ(小笠原満男)、ヤット(遠藤保仁)といったワールドユースで準優勝したいい選手が揃っていました。一学年上には、ツネさん(宮本恒靖)、マツさん(松田直樹)がいて、ヤナギ(柳沢敦)さんとか平瀬くん(平瀬智行)とかいいFWの選手もいっぱいいましたね。トルシエ監督はA代表もやっていましたし、『見られている』という色々なプレッシャーの中でやっていました。毎試合、いいメンバー達との競争という意識が本当に強かったので、みんなトルシエに『A代表に選んでくれ!』というアピール合戦という感じでした。いつも練習が試合のような緊張感でしたね」と。そんな厳しい状況の中であったが、現地入りして心境に変化があったと言いう。「ワクワクしていましたね。初戦は南アフリカでしたけど、ビッグクラブに入っていた同年代の選手がいましたし、そういう選手と比べて自分にどれだけの力があるのか、遅れを取っていないか、自分が世界でどれくらいの位置なのかを確かめられる大会でした。予選でブラジルと当たったのは良かったですね。その時はまだそこまで有名じゃなかったけどロナウジーニョもいました。ブラジルには0-1で負けましたけど、ヒデさん(中田英寿)が出場停止で自分がトップ下をやったので、あの試合は自分がどんなプレーをしていたか今でもよく覚えています」。

そして、現在のU-22世代で注目選手について、中村は2人の名前を挙げた。「FWの鈴木武蔵選手(アルビレックス新潟)は、日本人離れしたフィジカルは良いものがあると思うし、ボールを取った後の速攻に移るときのポジショニングが良いですね。裏を狙えるポジションにいたり、ストッパーとMFの間にいたり、速攻で前まで持っていける速さと力強さ、大胆さは目を引くものがあります。あとの中島翔哉選手(FC東京)。小柄なドリブラーのああいう選手は歩幅とかステップが外国の大きな選手には合いづらくて、すごく効いてくるドリブルだと思います。逃げるドリブルもそうですけど、ペナルティエリア内での突っ込んだところでの細かいステップのドリブルは素晴らしいと思うので、海外でもプレー出来るタイプだと思いますね。いい選手だと思います」と。最後に自身が得た経験を踏まえて若い世代にアドバイス。「僕はオリンピックが終わって、まだ世界との差は同学年ではそんなにないと感じたんですが、そのあとフル代表に選ばれて、フランスと親善試合をして0-5で負けたんです。そこで『海外に出ないと遅れるな』と思いました。プレーだけでなく環境もそうですし、目の前でジダンやアンリやトレゼゲを見て『危機感』みたいなものが生まれました。オリンピックではそこそこのプレーは出来たけど、それをもっと察知しなくてはいけなかったかなと感じましたね。そういう意味では、オリンピックで同学年を相手にそこそこのプレーが出来たとしても、そのままでは今でいう香川選手(ドルトムント)みたいにビッグクラブでは通用しないと思います。僕自身もそれが出来なかったからこそ、オリンピックでそういうことを感じてくれればと思います」。

■柏木陽介選手「臆せずプレーする事が一番」

柏木選手(浦和レッズ)は2008年北京五輪の最終予選全試合に出場し、司令塔としてチームに貢献。出場権獲得を決めた時のことをこう語る。「嬉しかったです。最終予選は全部試合に出ることができましたし、国立競技場の沢山のお客さんの前でオリンピック出場を決められたのは、嬉しさしかなかったですね」。U-22代表選手では「大島僚太(川崎フロンターレ)選手に注目しています。うまいし、一緒にプレーして良い選手だなと思いました。ただU-22の中では自分を出し切れていないと思うので、出し切って目立って欲しいなと思います」。そして若い後輩たちに向け、「臆せずプレーする事が一番かな。緊張するかもしれないけど、日の丸を背負ってプレー出来るという喜びを感じながらプレーして欲しいと思います」と笑顔でアドバイスを送った。

■香川真司選手「五輪は素晴らしい舞台」

香川選手(ドルトムント)は本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都、吉田麻也らとともに2008年北京五輪に出場。「初めて国を背負って出た大会で、国を背負う事の重さであったり、世界を相手に戦う事の経験であったり、それらを得て改めて世界に行きたいと思いました」と振り返る。若くして海外に出た香川選手は後輩たちにも、「若ければ若いほどいいのかなと感じますし、若いうちから世界の選手達と戦い、世界を知る事が大事だと思うので、どんどん世界の国々でサッカーをする事は良い事だと思います」と挑戦を進める。U-22日本代表には、「オリンピックへの切符を勝ち取ってほしいです。五輪は必ず素晴らしい舞台だと思いますし、そこに出て得るものが沢山あると思います。僕たちはグループステージで敗退してしまったんですがロンドン五輪ではベスト4までいきましたので、是非それを越えるチャンスだと思うので頑張って欲しいと思います」とエールを送った。注目選手については「中島翔哉選手(FC東京)。アジアカップの時に来ていたので。小柄ですけどすごいポテンシャルあるなと思いますし頑張って欲しいです。ドリブルのキレがあって、スピードもありますし、テクニックもあるので注目しています」と後輩の活躍に期待を寄せた。

■宇佐美貴史「サッカーはフィジカルも大事だけど頭だ!」

宇佐美選手は2012年ロンドン五輪のメンバーに招集され、チームはグループステージでスペインに金星を挙げるなど躍進、メダルは逃したもののベスト4という結果を残した。宇佐美選手は全6試合中4試合に出場したものの悔いの残る大会だったと振り返る。「チームとしては凄く良い所まで行けたんですけど、個人としては悔しさが残るオリンピックでした。その悔しさをバネにっていう方なんですけど。そこで得た悔しさとか、出し切れてないストレスとかは今でも覚えていますし、それを糧にしようと思ってずっとやって来たので、そういうきっかけを与えてくれた大会です」。出場機会が限られる中、手応えも感じていたようで、「試合に出ている選手達を見て、全然やれているなと思いました。日本の選手達の質の高さは、やっぱりあるんだなと思ったので。差というよりは手応えの方が大きかったと思います。スピードでぶっちぎる選手が日本に居ると思われていなかったと思いますけど、永井選手だってぶっちぎっていましたし、通用している選手がほとんどだったので。自分が試合に出ている時間は短かったですけど、出ている選手達と自分もそんなに差は無いと思っていたので。そこに出れば絶対にやれると思っていたし、出ている選手達のプレーとか、もちろん出た時も含めてですけど、自分も出来るはずと思うことができました」。中でも清武選手の印象が強かったという宇佐美選手。「身体が大きいわけじゃないですし、アフリカの選手達みたいにリーチがあったり、ちょっとリズムが違ったりというのは全くないとは思いますけど、技術と視野とアイデアで良いパスを通しまくっていました。チームの軸としてやっていたので、サッカーはフィジカルも大事ですけど頭だって事を分からせてもらいました」と語っている。

U-22日本代表には他の選手とは少し違った思いがある宇佐美は、「すごく頑張ってほしい。実は同学年の選手がいるんです、早生まれで遠藤航とか大島僚太とか。だからそういう選手達が中心になって頑張ってほしいですし、世界で自分たちのサッカーをして魅了して欲しいなと思います。その一方であと8か月生まれるのが遅かったら、自分も出られていたんだなと思う歯痒さもありますね。1月生まれだったら出られていたんですよ(宇佐美は5月生まれ)。だから悔しさがあるんですよね。同い年の選手達がオリンピックに出ているっていうね。しかもロンドンも悔しかったので。個人的な感情ですけど、それを同じ日本人として晴らしてほしいですね」。最後に、「もう一回出たいですね。オーバーエイジ枠で。8か月のオーバーエイジ(笑)。もちろんチャンスがあれば、ですけど」といった発言も飛び出した。

U-22日本代表が、今夜(7月1日)対戦するのは、中米の強豪コスタリカ。試合は、ユアテックスタジアム仙台(宮城県)にて行われ、この模様は、テレビ朝日系列で同日18時57分から生中継。解説は松木安太郎と中山雅史が務める。

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