福士加代子、密着ドキュメンタリーで3回骨折した過去を告白

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今年開催されるリオデジャネイロ五輪の代表選手選考会を兼ねているマランドンレース『第35回大阪国際女子マラソン』に出場する福士加代子選手のドキュメンタリー番組『私がマラソンを走る本当の理由』を、関西テレビで1月30日(土)16時35分より放送。2014年から昨年8月まで合計3回、福士が左右の脚を骨折していたことが明らかになる。

関西テレビでは2005年から継続的に福士選手の密着取材を行い、これまでに4回の特番を放送。今年33歳となる福士は、リオ五輪が陸上人生の最後と位置づけており、今回の大阪で五輪代表を勝ち取ることができなければ、即引退。つまり、設定記録を突破しなければマラソンからは一線を引く覚悟でいる。

これまで福士は、北京五輪を目指した2008年1月の大阪国際女子マラソン、ロンドン五輪を目指した2012年の大阪国際女子マラソンに出場するが、いずれも後半の失速で五輪出場の夢を叶えることは出来なかった。だが、2013年1月の大阪国際女子マラソンで世界の強豪・ガメラシュメルコに次ぐ、2位(のちに繰り上げ1位)に入り、2013年8月の世界選手権ではモスクワの酷暑の中で銅メダルを獲得。アフリカ勢などに押されがちだった日本女子マラソン復活の足掛かりとなった。

マラソンへの適性を証明し、再び五輪マラソン代表の座を目指す福士に不運が襲う。2014年10月のベルリンマラソン出場後に右足中足骨を骨折。手術を行わずリハビリにより回復を図ったが、2015年3月に同じ箇所を再び骨折し、結局手術に踏み切ることになった。長く走れない期間は、体だけでなく心もむしばんでいった。「もうマラソンは走れないかもしれない……」福士の口からは弱気な発言しか出なくなっていた。もう一度五輪を目指すという決意が揺るぎ始めてしまった。そんな心の迷いは、さらなる悪夢を生む。復帰し始めた2015年8月、今度は左足の疲労骨折が判明する。

2005年から福士を取材し、今回の番組も担当する関西テレビの澤田淳司ディレクターは、「精神的な弱さがケガを招いてしまったと本人も自覚していたようです。自由自在に走れるトラック競技と違い、マラソンは難しくてうまくいかない、そんなマイナスイメージでとらえていたようです」と振り返る。

しかし福士は、リスクを抱えながらも前に進む決断をする。2015年10月のシカゴマラソンに強行出場し、自己ベストにあと4秒に迫る2時間24分25秒で完走。福士は「気持ち的には落ちなかったです。これまでマラソンを走ることに、これまでずっと負けていたんです。(シカゴマラソンで)初めてマラソンを走った気がする」と語っており、マラソンレース出場7度目にして初めて手応えを感じるレースとなったようだ。

そして、福士選手が2016大阪国際女子マラソンで迎える3度目の五輪選考会。傍目には“破天荒”ともみられるその言動と行動の裏に隠された彼女の繊細な心、そしてマラソンに向き合い、葛藤する心の揺れ動き、自らの弱い心とどう戦ってきたのか。陸上人生の集大成をいま迎えようとしている福士選手にとってマラソンとは一体、自分の人生に何をもたらしてくれたのか?

前述の澤田ディレクターは、「福士選手はスイッチが入ると、獲物を狙う獣のようになります。トラックや駅伝などで圧倒的強さを誇っていたような、そのスイッチがマラソンでもしっかりと入るようになれば、8度目のマラソンとなる今回の大阪国際で一気に記録も順位も殻を破る可能性がある」と取材を通して見た福士のアスリートの素質を語る。さらに、「シカゴマラソンで 課題としていた30km以降の失速を克服することができ、今は気持ちの持ち方を変えマラソンを走っている時間も楽しめるようになってきているようです」と心身ともに充実した状態でレースに臨んできた現状を語った。さらに今回の番組について「2005年からの11年の取材の集大成として、番組タイトルにした『私がマラソンを走る本当の理由』が何なのか、それをしっかりと伝えたい」と意気込みを語っている。

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