ディズニー最新作『インサイド・ヘッド』でCGアニメなのにあえて使われた表現手法

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ディズニー/ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド』が、いよいよ7月18日より日本で公開となる。『アバタ―』を超え完全オリジナル作品で歴代No.1スタートとなった本作は、11歳の少女ライリーの頭の中の“感情たち”を描く感動冒険ファンタジー作品だ。

ピクサー長編アニメーションが作られて20周年という記念すべき作品の共同監督に大抜擢されたのが、ロニー・デル・カルメン。彼は本作で初めて長編アニメーション作品の監督を務める。そんな彼が、今回、『モンスターズ・インク』(01)や『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)の監督ピート・ドクターとともに共同監督になったいきさつを語る。「僕はピート監督の『カールじいさんの空飛ぶ家』でストーリー部門の監督をしていた。その作品で台本を書き、設計したりしてピート監督と一緒に仕事をしたよ。その作品が終わった後、次の作品の共同監督を一緒にやろうと彼が誘ってくれたんだ」と。

2000年にピクサー・アニメーション・スタジオに入社以来、『ファインディング・ニモ』(03)や『モンスターズ・ユニバーシティ』(13)など数々の作品に携わってきたロニー。ついに長編アニメーション作品の監督を務めることになったわけだが、そんな彼に今回、全てのピクサー作品を監修し本作の製作総指揮を務めるジョン・ラセターがある助言をしたという。

その助言とは、「“頭の中”と“外の世界”をしっかりと交互に見せること」だったという。その時を振り返り、ロニーは「頭の中で起きていることがライリーの生きる世界にどう影響を与えるかを見せることで、観客は映画体験が深まるのです。ジョンは2つの世界を何度も見せるようにとアドバイスしてくれました」と話している。しかしただ交互に見せるだけでは、どっちがどっちの世界なのか観客が混乱してしまうという心配があったため、ビジュアル的に2つの世界の違いを表現するため、ある手法を使った。

製作陣が着目したのが「カメラのフォーカス」。実写映画では俳優たちが動いたときに、カメラのピントが合っていないことがあるが、これは実写映画では自然なこと。しかし、CGアニメーションではピントを外すことは行われないが、本作ではライリーの現実世界ではあえてピントを外し、頭の中の世界ではピントを完璧にすることで、2つの世界の違いを表現した。

本作で撮影監督を務めたパトリック・リンは「頭の中の世界とライリーが生きている世界の違いを、はっきり際立たせるようなデザインにしたいと強く思っていたよ。ライリーがいる世界は現実をモデルにしているから完璧な印象があってはならない。でも頭の中の世界は全て想像力を羽ばたかせたものだから現実世界より完璧にしたんだ。この2つの世界の対比が物語のとても面白いところだよ」と語る。その言葉通り、例えばライリーが嫌いなピーマンを食べさせられるとき、ムカムカが「ピーマンなんて嫌い」と言って、ライリーにお皿を払う態度を取らせるシーンなど、現実世界と頭の中の世界を分かりやすく表現している場面が見事に描かれている。

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