ドラマセットをDIY!デザイナーが語る細部への気配りと“ぬくもり”

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フジテレビ系列で放送中の連続ドラマ『Chef~三ツ星の給食~』(毎週木曜22:00~)の美術セットツアーが、東京・台場の湾岸スタジオで開催。同局美術制作局のデザイナー・笹朝斐さんが、主人公・星野光子(天海祐希)の自宅や、三ツ星レストランのオーナー・篠田章吾(小泉孝太郎)のオフィス、小学校給食の事務室のセットなどを案内した。

本作は、三ツ星レストラン「ラ・キュイジーヌ・ドゥ・ラ・レーヌ」の天才シェフ・光子が、オーナー・篠田とのトラブルでクビになり、意外なきっかけで小学校の給食作りに挑戦しながら、失った三ツ星を取り戻すため、力強く前向きに人生を切り開いていく姿を描いた痛快エンターテインメント。

まず、光子の自宅のキッチンでは、「ワインセラーの中のボトルが少しずつ減っていて、光子の状況を表しているんです」、「実はスピーカーが4か所に用意され、踊りながら料理する光子に音楽が集まるように設置されています」と案内し、奥の部屋では「小物は、フランス時代の友人からの手紙など思い出の品々が置いてあったりします」と小道具について紹介。テレビ画面に映るか映らないかわからないところまで、主人公を表現する上で大切な部分がしっかりと作り込まれていることに、ツアー参加者たちは感心していた。

そのほか、篠田のオフィスでは、ゴールドのサンドバッグが可動式になっていることが明かされ、実際にツアー参加者たちはサンドバッグを叩いたり、篠田のチェアに座ったりして記念撮影を楽しんだ。また、給食の事務室では、テーブルに描かれた絵について「これは監督、美術、ほかにも多くの部門を跨いでスタッフが集まって描きました。スタッフが書いたキャストの皆さんの似顔絵もあるんです」と、ぬくもりのこもったセットを作るために、スタッフが一丸となって作品に携わっていることを伝えた。

ツアー終了後に取材に応じた笹さんは「光子さんが映る画面にはこっそりとフランスカラーを入れようと監督と話しました。天板が青白赤になっていたり、光子さんが入ってくるところに赤を入れたりしているんです」と密かなこだわりを明かし、キッチンは光子が踊りやすく、調理中の足元まで見えるようにスペースを確保されていることや、給食の事務室におもむろに置かれている献立の用紙もドラマと連動した内容が書かれているなど、細部までい行き届く深いこだわりを教えてくれた。

また、劇中で印象的な光子の屋台も笹さん自らが手作りで制作。「手作り感を出すために、一週間以上かけて毎晩自分で作り上げていきました。光子さんのセリフで“7万円で作った”というのがあったのですが、プロデューサーに聞かれて材料費という意味で答えたら採用してくれました」と笑顔を見せ、「劇中で光子が屋台を押すシーンでは、中の食材や調理器具などを抜いて軽くしてから押してもらおうと思っていたのですが、天海さんが“リアルにやりたいから、このままにして欲しい”と言ってくださって驚きました」と撮影秘話を語った。

今回のツアーについては「視聴者の皆さんの声をネットなどで見る機会はありますが、これまでお会いしてお話を聞くことも聞いてもらうこともできませんでした。実際にセットの中で触れ合う機会があると、皆さんの温度感も伝わってきて良かったです」と感想を語り、「画面に映っているかわからないようなところもあって“気づいてくれるかな?”とワクワクしているのですが、しっかり見てくださっている方がいることも改めてわかって嬉しかったです」と感謝の思いを語った。

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