週刊連載の漫画における「記念回の増ページ」は誰のため?

公開: 更新:

漫画家・久保ミツロウ、エッセイスト・能町みね子、音楽プロデューサー・ヒャダインの“こじらせ系”クリエーター3人が、毒舌&妄想&本音トークを繰り広げる一風変わった文化的おしゃべりバラエティ番組『久保みねヒャダ こじらせナイト』(フジテレビ系列、毎週土曜深夜)。9月17日の放送では、週刊連載漫画の記念回に関する話題で盛り上がった。

出演者の近況を報告する「久保みねヒャダ近況まとめ」では、久保の「週刊連載の時に1周年記念!とか、100回記念!とか、必ず増ページでお祝いみたいなことになってたけど、お祝いなのに自分の労働時間を増やすことでお祝いって、当時何の疑問も抱かなかったけど、お祝いの概念やばい。お客様感謝セールってことなんだろうけど」というツイートを紹介。久保による漫画家ならではの苦労に、能町も「これハッとしたわ~。確かに」と納得していた。

久保によれば、漫画の週刊連載において、読者アンケートの反響が大きいのは、増ページを行ったときだそうで、中には、3話連続掲載を3週連続で行った作家もいたという。久保は、「増ページとか月刊誌への出張とかも、作家さんが“やりたい”と言ってやるよりかは、見ていた感じでは、編集さんが“増ページ取ってきました~”みたいな感じ」と内幕を明かし、さらに、「作家が休むことを良しとしない文化だから、週刊は」と、その不文律を指摘した。

これに対し能町は、「100回記念休載、とかね」と提案。久保は笑いつつも、「きっとそれは作者の人も望んでない、(読者に)求められることが嬉しいと思うから」とマンガ家ならではの心情を語った。そして、「作者が血反吐をはく頑張り以外に、なんで編集は血反吐を吐かないんだろうって、たま~に思ったんだよね。血反吐をはかせる以外の努力をなんでしないんだろうって」と指摘。ヒャダインは「完全に愚痴ですよね……」と指摘しつつも、「音楽界でもそうですよ。何周年記念って馬車馬のようにリリースとかライブとかさせるじゃないですか」と、似た状況であることを明かした。

「結局、本人が血反吐を吐くしかないのか」と諦め気味の久保に対し、能町は「私みたいに、いろんなところで小さい仕事ばっかりしていると、何も記念されたことがないから」と、逆に、記念回がない作家の気持ちを明かし、「私、去年、こっそり10周年迎えていたんですけど、自分でも完全に忘れていて」と告白。ヒャダインも来年、活動10周年を迎えることから、「やりますか、自分から」と提案。しかし、能町は「私、自分で誕生日パーティー開く芸能人大嫌いなんですけど」と難色を示し、「誕生日じゃないときにやりたいです」と語っていた。

番組ではこの他に、「予想を下回る微妙な料理」のコーナーや、久保が発見したリズム感のいい言葉に関する話題などで盛り上がった。

PICK UP