アニメ「おそ松さん」と「ジャニーズ」の意外な共通点とは?

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漫画家・久保ミツロウ、エッセイスト・能町みね子、音楽プロデューサー・ヒャダインの"こじらせ系"クリエーター3人が、毒舌&妄想&本音トークを繰り広げる一風変わった文化的おしゃべりバラエティ番組『久保みねヒャダ こじらせナイト』(フジテレビ系列、毎週土曜深夜)。4月2日は、3月に新宿アルタで行われた公開収録の様子を放送。150名の観客を前にしつつも、いつもと変わらない3人は「久保みねヒャダ近況まとめ」において、先日最終回を迎えた、あのアニメのヒットの要因を、鋭く分析してみせた。

赤塚不二夫の漫画「おそ松くん」をベースに、6つ子の兄弟が大人になったという設定で描かれた深夜アニメ「おそ松さん」は、2015年10月から2016年3月までテレビ東京系で放送され、深夜アニメにも関わらず大ヒットを記録。SNSやニュースサイトでは放送毎に話題となり、アニメ誌やテレビ誌以外の雑誌でも表紙を飾るなど、一大ムーブメントを巻き起こした。

能町は、そんな「おそ松さん」のヒットについて、ヒャダインが雑誌のコラムで「アイドル文化の集大成」と分析したことに触れ、「完璧なこと言うなこの人と思って」と大絶賛。さらに、「そんなにおそ松さん知らないんだけど」と前置きした上で、「基本的に6人の顔はほとんど同じだけど、性格は違うっていう設定でやっている。そういう一見同じようなものの中の違いを見つけて萌えるっていうの、確かに流行っているなって思って。すぐ私は相撲のことを考えましたね」と、相撲好きの本領発揮とも言える発言で会場の笑いを誘った。

「お相撲さんってみんな裸だし、太っているし、顔もそんなに分からないし、髪型も一緒だし」と能町は、おそ松さんと同様に、お相撲さんは見た目がみんなほぼ同じだと説明。久保は「ここでアイドルとかの話に行くんじゃなく!」と能町の根っからの相撲好きな一面に笑い、ヒャダインも「AKB48とかじゃなく!」と手を叩いて爆笑。能町は、「それでも、みんなお相撲さんの萌えポイントって見つけるんですよ」と微妙な差異の中に潜む、力士の萌えについて力説した。その説にヒャダインは、「そうか、だからか!昔からお相撲があったから、みんな微妙な差を識別できるようになったんだね。モーニング娘。も識別できたし、AKB48も識別できた」と相撲文化によって日本人の“識別する能力”が高まり、全員が同じ年格好をしたアイドルグループのメンバーの識別ができるようになったと、能町の意見をまとめた。これには、能町本人も久保も「そうだ!」「それだよ!」「アイドルよりも先にあったのは相撲だもん」と深く納得。ヒャダインは、「僕はAKB48とかがあったから、(おそ松さんの)6つ子を一瞬で識別できるのかと思ってたけど、ちょっと浅かったですね」と、コラムに書いた内容について、反省した。

その流れから、久保は、「おそ松さん」の6つ子はそれぞれの性格や見た目もそうだが、キャラ同士の関係性によっても判別できると持論を展開。「おそ松さんがなぜ女性(の人気)に火が点いたかと言うと、ここの関係性が一瞬垣間見えたところが“アレやばくね”って思われて、“来た”んですよ」と、BL(ボーイズラブ)的な要素がヒットには必要不可欠だったと語り、「何話目かのちょっとしたキャラとキャラの目線や会話の何かで、“あれ?”っていうのがあって、関係性が明確になってから(爆発的にヒットした)」と、独自の視点でヒットの要因を解き明かした。また、「途中で脚本家が変わった」「それがハガキ職人とかやってた人で……」とアニメに対するディープな知識を披露し、能町とヒャダインを感心させた。

なぜメンバー同士の関係性に萌えるのか、その原点はやはりジャニーズだったと久保が解説。「メンバー同士の仲が良いっていうのは、V6が最初って私は聞いたんですよ」と、BLを匂わせて萌えさせるというルーツはV6にあったと言及すると、会場からも「へ~」の声が。さらに、「もちろんSMAPとかもあったけど、6人でってところがおそ松さんと一緒ですよ」と共通点を見出した。一方で、能町はこの関係性の話を聞いても、まだ相撲に結びつけてしまうという。「最近、相撲協会の公式Twitterが、(力士同士の)仲良くしている写真をガンガン上げるんですよ。そういう裏の睦み合いをTwitterで垂れ流してるんですよ。あの関係性がでかいんじゃないかと思ってるんだよね」と相撲にもBL的な要素を見出せると主張した。

最後は久保が「ヒットしたものをマネて同じようなものを作ろうって二番煎じがあるけど、ただキャラが同じ6人を集めればいいってもんじゃない」とヒット作を生み出す難しさを語り、ヒャダインも「時代にフィットしたんだなぁと思います」とおそ松さんが時代の流れに乗った作品であったと強調。能町はアイドル論に発展するかと思ったという久保の発言を受けて、「でもね、相撲もアイドルだから。私、昔から相撲のこと“箱(国技館)推し”って言ってますから。相撲協会700人くらい全員推してますから」と、自身の中で、アイドルの“DD(誰でも大好き)”と同義語の“箱推し”があると説明し、観客を笑わせた。

この回では、他に「久保みねヒャダそっくりさんカーニバル」と題し、番組出演者やゆかりのある人のそっくりさんが登場するコーナーや、PUFFYに歌ってもらうために3人が作った曲「抱きたきゃ抱けばEじゃNIGHT☆」の制作秘話などで盛り上がった。