山崎育三郎が演じる砂清水が面白いと話題!キャラを「自分に寄せている」と告白

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関西テレビ・フジテレビ系で放送中のドラマ『お義父さんと呼ばせて』(毎週火曜22:00)に出演する山崎育三郎が取材に応じ、役への思いや収録の様子などを語った。

ドラマは、遠藤演じる中堅専門商社の部長・大道寺保(遠藤憲一)が、渡部演じる一流総合商社の取締役・花澤紀一郎(渡部篤郎)の愛娘・美蘭(蓮佛美沙子)と出会い、年の差を乗り越えて結婚を決意。まるで異なる生き方を歩んできた51歳の二人が、「結婚したい男」と「結婚させたくない男」として、娘をめぐり激しくぶつかり合う姿をコミカルに描く。

山崎が演じるのは、紀一郎の部下で、美蘭に一度はフラれながらも恋をし続けるチャラ男・砂清水誠。ミュージカル界のプリンスと呼ばれる男が、これまで見せたことのないキザでナルシストなキャラクターを演じ、印象的なセリフまわしの数々はネット上でも話題になっている。

――大反響が起こっている砂清水ですが、最初に出演オファーを聞いたときはどう思われましたか?

始めて監督にお会いしたときは、「ミュージカル界のプリンス・山崎育三郎のキラッキラなイメージでお願いします!」と言われて、まったく意味がわからず、どうしたらいいのだろう? と思いました(笑) 原作のない作品なので、とにかくキラキラをイメージして、渡部さんからも多くのアドバイスを頂きながらイチから作り上げていきました。

――どのように“キラキラ感”を出していったのでしょう?

まず大前提として100%の美蘭ちゃんへの気持ちがありますよね。それに加えて、自分のことも大好きだろう、品があるだろう、憧れは渡部さん演じるアントニオ(紀一郎)なので、仕草やファッションなどにこだわりがあるに違いない。自分が他人からどう見えているかを意識している男をイメージしました。ただ、本人はとても純粋で、頑張ってまっすぐに生きている男。それをまわりから見ると面白おかしく見えるというキャラクターですね。

――舞台とテレビドラマで“キラキラ感”を出すのに違いはありますか?

ミュージカルの場合は多くて2000人くらいの劇場なのですが、その一番後ろの席まで届く芝居や歌を意識しています。映像だと相手が近くにいてカメラが僕の姿を抜いてくれているじゃないですか? もし舞台で砂清水をやったら、もっと派手にやっちゃうと思います。あれでも抑えてるつもりなんですよ(笑) ただ、舞台は生のステージなのでお客さんの反応があるのですが、ドラマはシーンとしているのが恐いです。でも、内心では「コレで大丈夫なのかな?」と思いながらやっていても、スタッフの皆さんが喜んでくださって笑ってくださると安心しました。映像の世界では、目の前にいる役者さんからもらうお芝居をしっかり受けることを意識しますが、舞台はお客さんを意識するので、お芝居の幅は違うのかなと思います。

――渡部さんからはどのようなアドバイスがありましたか?

僕の役を楽しんで可愛がっていただいています。「砂ちゃんいいね!」って盛り上げてくださって、僕が現場で裸になれる空気を作ってくれるんです。僕自身、今回は監督に「やり過ぎ」と言われるくらいところに挑むのがテーマだったので、そこに渡部さんが「今の良いね」、「こういうのやったら良いんじゃない?」と声をかけてくださり、「アイアイサー」の言い方のアドバイスを頂きましたし、砂清水という役は渡部さんと一緒に作ってきた感覚があるくらいです。

――遠藤さんとの共演はいかがですか?

保さんが恋のライバルなので、お芝居でもガンガン攻めていっているのですが、遠藤さんは普段から保さんのまんまなんですよ。「山崎くんはミュージカルの人なんだって? 歌うの上手いらしいじゃん。何か歌ってよ。俺、歌えないからさ」って。ずっとこんな感じで(笑)ずっとフワッとした感じで一緒にいてもリラックスできますよね。でも、お芝居になると、僕がアドリブをいれても遠藤さんはしっかりと受けて返してくださって、面白い芝居のキャッチボールが出来ていると思います。やっぱり主演の方の空気で現場は決まるので、お二人の現場のたたずまいは勉強になりました。

――かなり個性的なキャラクターですが、放送が始まってから巷の反応はいかがですか?

これまでミュージカルの世界でやってきて、「ロミオとジュリエット」や「ラ・ミゼラブル」などシリアスな作品が多くて、コミカルな役をやるのはほぼ初めてだったんです。ミュージカルを見たことがない人からすると、「下町ロケット」の真野賢作のイメージだったと思うのですが、この作品で砂清水になりました。僕としては、コミカルな姿を引き出していただいたと思っていますし、新しい自分に出会えた作品だと思っています。この前も女子高生に囲まれて、「砂清水だ! ウケるんだけど-!」と言われて(笑) テレビを見て「なんだかうざい」とか「どこかムカツク」とか、なぜか気になるスパイス的なキャラクターになれればいいなと思いました。

――「みんなのニュース」にゲスト出演した際は「砂清水が自分に近い」と言っていました。

そのときやっている役に普段の自分も寄り添うところがあり、「下町ロケット」で真野をやっているときは、髭を生やして髪もモシャモシャっとして、普段も「ワーッ」とならない人になっていましたし、ミュージカルの場合は長いと5ヶ月くらいその役を演じることがあるので、そのキャラに寄り添った自分がいることは多いです。今は砂清水なのでちょっとテンションが高いと思います。

――山崎さんの周囲の方々の反応はいかがですか?

「テンションが上がっているときの山崎だよね」と言われることはありますね。あと砂清水がカラオケで3代目J Soul Brothersさんの「R.Y.U.S.E.I.」を歌った回があるのですが、僕の勝手な設定では、本当は砂清水はあの歌を知らなかったと思うんです。砂清水は僕と一緒で美空ひばりさんとか歌謡曲が好きだった。でも、美蘭ちゃんに若いところと保さんとの差を見せるために、若い人の間で流行っている曲を必至に覚えたと思うんです。僕自身、「R.Y.U.S.E.I.」のダンスのポーズは見たことがありますが、Aメロとかは知らなくて、今回のために覚えました。きっと砂清水もそういう努力をしたと思うんですよ。結局、そうやって無理して踊っていたからどこかダサい(笑) 保に対して「おじさんにはわからない」とアドリブで言ったのですが、歌謡曲とかを好きという部分では僕と一緒。というか砂清水を僕に寄せた部分なのかなと思います。

――砂清水はとってもコミカルな役だと映っているのですが、演じている山崎さんはどのように考えて演じているのでしょうか?

コミカルなキャラクターということ特別意識してはいないです。彼自身が美蘭ちゃんのことが大好きで自分のことも大好き。自分の振る舞いは常に研究していて、頭を殴られても髪型を直すとか、そういう動きはアドリブなんです。たぶん砂清水はこういう風に生きているだろうなと思ったことをやっているだけで、それが結果的に観ている方が面白いと思ってくれているなら嬉しいですね。

――カラオケシーンは本当に面白かったです。そのほかに振り返って忘れられないシーンはありますか?

カラオケの後で声が枯れている演技をするシーンもある意味で大変でした(笑) 僕はカメラの方を向いていて、アントニオと秘書の愛川希和(中村アン)がカメラに背を向けていたのですが、僕がガラガラ声で演技をしている最中、二人は映ってないからずっと笑っていて、スタッフの皆さんも肩を震わせているんですよ。そのときは、笑うのを堪えてまわりの反応を無視しながら続けるのが大変でした。それに、収録を重ねるうちに、僕が砂清水の格好でスタジオに行くとスタッフの方が笑っていたりして、自分がこういうキャラクターになっていくのは想像していなかったですね。

――今後、砂清水のようなキャラクターがきたらどうしますか?

なんでもチャレンジしたいと思っています。20代の頃は、ずっとミュージカルをやってきて、必ず相手役がいて、格好良く見せることをやってきたので、30代に入り、これまでにやったことのない役や、映像の世界でチャレンジさせていただいて、役者としての幅を広げていく時期だと思っています。

――アドリブは若い頃から鍛えられたのですか?

どんどんやるというのではなくて、気持ちの流れで思わず出ちゃう感じです。それを監督が「今の良いね」と採用したり、逆に「今のはいらない」と言われたりすることもあります。ただ、ミュージカル俳優は歌や芝居はもちろんですが、20代の頃からディナーショーなどをやらせていただいて、しゃべりも鍛えられるんです。せっかくお越しいただいているから少しでも楽しんでいただきたいですから。先輩たちもしゃべれる方が多くて、そういうところでアドリブ力は鍛えられたのかもしれません。

――終盤に入り、保の部下・八千草千代とのやりとりも面白いですが?

これまで砂清水がみんなを圧倒している感じでしたが、始めて押されて自分のペースが崩される瞬間が訪れ、負けずに押し返したりしています。最終話は千代さんとの関係がものすごいことになっていくので、ぜひ、楽しみにして欲しいです。

――最終話の見どころをお願いします。

砂清水とお別れというのが寂しいです。あっという間でした。まわりに仕掛けていく、自分の思いをぶつけていくことを8話までやってきた。千代さんという女性との出会いで、砂清水が生きてきた中で思いもしない感情が生まれる。はじめは嫌でしょうがないけど、自分でもこの人に対して「なんなんだろう?」と思うことが増えていきます。9話でその関係性にサプライズが起こり、今までにない砂清水が見られるはずです。これまで自分の生きる道を進んできたけど、初めてブレる砂清水……。そこが最後の見どころだと思います。

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