iPS細胞研究者・山中伸弥『beポンキッキーズ』で「未来の科学と子どもの教育」を語る

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iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授が、BSフジで2月12日(金)あさ7時30分から放送される『beポンキッキーズ』にゲスト出演。フジテレビKIDSで論語総監修を担当している文学博士の加地伸行教授とスペシャル対談を行い「未来の科学と子どもの教育」をテーマに語り合う。

今回の対談は、加地教授の発案によって実現。昭和30年代に「遺伝子」という言葉をはじめて聞いた加地教授は、自然科学生命論における遺伝子の乗り換え、親から子に肉体を通して乗り換えて生きているということが強烈に響いたという。儒教には「自分の体は親の遺体」【※「身(み)は父母の遺体なり」(『礼記』祭義篇)】という言葉があり、この場合の遺体とは「残した体」ということを意味している。つまり自分の体は親の体で、父親の体は祖父母の体であるという考えだ。加地は、もともと人間は一つの遺伝子からできているという自然科学の生命論と儒教の思想が一致しているのではないか? と以前から感じており、山中教授との対談に強く興味を持ったという。

番組プロデューサーの武富英夫は山中教授のキャスティングについて、「『beポンキッキーズ』が未来ある子どもたちとその保護者に向けて放送している番組ということと、加地先生の論語研究に興味・共感をもたれて、ご出演をご承諾いただきました」と語り、「古代の教えと現代科学の最先端、基本的には相反する何の接点もないと思われるお2人の対談から何が生まれるのか? を軸に、山中先生との対談で、その“一致する部分”を浮き彫りにできたら」と番組の狙いを語っている。

収録は、1月18日(月)京都大学iPS細胞研究所の一室で行われ、話題は臓器移植から日本の教育システムにまで及んだ。山中は学びのプロセスにおいては、「無心」であることや、先達に学びながらも同時に「疑うことが大切だ」との持論を展開。論語を軸にした教育論を展開している加地も山中の考えに同調し、論語の名句を用いて「学びて思わざれば則ち罔(くら)し」「思いて学ばざれば、則ち殆(あやう)し」と覚えるだけで考えることをしないと身にならず、考えることだけで基本を学ばないとひとりよがりになってしまうということを論じた。

また、山中教授はアメリカと日本を比較し、日本では柔軟に物事を考える力を身につける教育が足りないことを指摘。「学ぶという点で、日本人は世界中の誰よりも勤勉なので、あとはそれをどう疑うか、型を学んでどう破るかですね」として2人の対談は終了。するとそこへ、番組キャラクターのガチャピン・ムックが登場。山中教授は「わーっ!!」と驚きの声をあげ、目を丸くしながら写真撮影を行った。

前述の武富プロデューサーは、「遠い古代の時代の教えと、現代生命科学との奇しくも一致する部分が非常に興味深い対談でした。加地先生の論語を紐解いた“学びて思わざれば則ち罔(くら)し”という言葉と山中先生の“学んだうえで疑う”という言葉が共鳴し響き合っているところが、これからの子どもたちに対するお2人独自の教育論として非常に興味深かったです」と収録を終えた感想を語っている。

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