小栗旬、松坂桃李、福士蒼汰、有村架純、広瀬すず、戦争体験者への取材で感じたこと

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終戦70年を迎える今年。フジテレビは、8月15日「終戦の日」に戦争を学ぶドキュメンタリー番組「私たちに戦争を教えてください ~いま、会っておかなければいけない人がいる今日、聞いておかなければいけない声がある〜」を放送。番組に出演し、戦争体験者に取材を行う小栗旬、松坂桃李、福士蒼汰、有村架純、広瀬すずが、それぞれコメントを発表した。

終戦時に10歳以上だった、戦争の記憶がある世代の人口は、この15年で2204万人から1013万人とほぼ半減。もはや親、子、孫の3世代に渡って戦争を知らない家庭も少なくない。この番組では、戦争を知らない若い世代の俳優5人がナビゲーターとなって、自分と同じ年頃を戦争のまっただ中で過ごした戦争体験者に会い、自分の言葉で問いかけ、戦争とは何かを学んでいく。取材は6月初めからスタートしており、5人はそれぞれのテーマに向きあい、日本各地、さらにはハワイ・パールハーバー、ペリリュー島などを訪れ、「私たちに戦争を教えてください」と当時を知る人々から話を聞いていく。

小栗は「なぜ、戦争が始まったのですか?」をテーマに長野とハワイを訪れ、真珠湾攻撃に参加した元ゼロ戦の天才パイロット・原田要さんと、パールハーバーで攻撃を受け沈められた米海軍戦艦アリゾナの元乗組員などに話を聞く。小栗は原田さんの取材を終え「戦争が人にいったい何を与えるのか? 想像はできても体験していないものなので理解することができない。あの真珠湾攻撃を実際に体験した方から直接お話を聞くことができ、本当に貴重な体験をさせていただいたと思います」と振り返り、「ぼくたちは戦争というものを体験したくはないし、世界からも争いがなくなってほしいと強く強く思う」と語った。

松坂は「玉砕ってなんですか?」をテーマに、1万人の日本兵のうち、生存者わずか446名という激戦地となったパラオの激戦地ペリリュー島へ。生存者のうちの一人となった元日本軍兵士から、兵士として人を殺さなければならないという現実に、いかに向きあったのかと問いかける。松坂は「近寄れば近寄るほど本当に自分は戦時中の日本のことを何も知らなかったんだと思いました」と感想を述べ「“歩み寄る=知る”ということだと思います。忘れられる怖さを強く感じました。だからこそぼくたちは歩み寄り、できるだけ当時の記憶を受け取り伝えていかなければ」と、取材を通して感じた思いを話している。

そして、福士は、東京・市ヶ谷/鹿児島・鹿屋基地で「特攻ってなんですか?」、広島で「原子爆弾が落とされた日知っていますか?」をテーマに取材。まず、神風特攻隊の生存者、千玄室さんに出会った福士。生き残ったものの、多くの友人を無くした喪失感をいまだに抱き続けており「今も仲間の声が聞こえる、顔が思い浮かぶ」という千さんの言葉に涙が止まらない。福士は「今まで、戦争の悲惨さや戦争をしてはいけないということはわかっていましたが、具体的にどうすればよいのかという答えがわかりませんでした。今回、“まずは家族を守ろうよ”と言われて……。そういう気持ちを持ち続けていけば平和な世の中になっていくと思いました」と語った。さらに福士は広島に向かい、原爆投下から3日後には走っていた路面電車、通称「被爆電車」の運転手、当時10代の少女だった増野幸子さん、児玉豊子さんに会い、70年前の広島に思いをはせる。

国内最大の地上戦の舞台となった沖縄を訪れた有村は「少女は沖縄で何を見たのですか?」
をテーマに、一人の女性から話を聞く。激戦地で逃亡の途中、家族とはぐれ、たった一人で戦場をさまようことになった幼い少女が見た光景、それはあまりに壮絶なものだった。有村は「現代では子供が、死ぬということ、自分の死に方なんて考えないはずです」と語り「戦争には世間で語られていることよりも、もっともっと計り知れない重いものがあると思います。そこがわからないということが戦争を体験していないということなんだと実感しました。ちゃんと自分が得たもの、得た言葉を頭に焼き付けて忘れないようにしたいと思います」と今回の取材を振り返った。

広瀬すずは、福島を訪れ、目の前に死が迫る中で生まれた「特攻隊員との淡い恋」を追体験する。福島の原町陸軍飛行場近くにあった牛乳店の看板娘、当時15歳の加藤美喜子さんは、特攻隊員と恋をし、文通していた。加藤さんのもとを訪れ、特効隊員たちが書き残した言葉を目にし、テープに録音された当時の肉声を聞いた時、広瀬は何を感じるのか。8月の取材に向け準備中の広瀬は「10代の私たちからすると学校の授業でしか戦争について考えたことがありませんでした。自分の知らない世界や想像もできないことがそこにはいっぱいあるんだろうな、と思います。私も番組を通して、皆さんと一緒に“戦争”について考えてみたいと思います」と語る。17歳になったばかりの広瀬は当時15歳だった女性に「今、当時を振り返っての思いを聞いてみたいです」という。

番組を企画したフジテレビ編成部の増本淳は「私自身、2007年にドラマ『はだしのゲン』を制作した際、初めて祖父母に戦争の体験談を聞き、こんな身近に戦争というものがあったのかと驚きました」と語り、「これからの日本を担う多くの若者たちが、あの時代を生きた家族や周囲の人々などに話を聞いてみようと思うきっかけにこの番組がなれればと願っています」と番組へ込めた思いを話している。

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