【井上涼「太陽の塔はどんな相談も答えてくれそう」制作過程を直撃】
――構想スケッチから本編に繋がるまで、どのくらいの期間を要しますか？
2か月で3本作る感じで、1本あたりを厳密に言うのは難しいですが、だいたい2か月ぐらいでしょうか。1か月で曲をまとめて、もう1か月でアニメを作るというペースが、ざっくりとしたイメージです。
――アイディアはすぐ降りて来ますか？
毎回全然降りてこなくて、「もう次はない！」って毎回思ってやっています（笑）。でも、“小学生や中学生の子たちが興味を持つもの”を意識した場合、パッと見て思いついたこととかを逃さずキャッチして形にするということが大事だと思っています。おそらく、みなさんは美術館に行ったこともあるでしょうし、美術作品を見て「なんか隣の家の人に似ているな」というレベルの感想や思いつきは絶対経験しているはずですが、そういう感想はちょっと蓋をしてしまう傾向があると思うんです。そんな蓋を、私は壊すというか、壊して「山田さんに似てました」っていう作品を1本作るという発想ですかね。そういう“蓋をしない”っていうことを、とても大事にしています。
――ご自身の幼少の頃の記憶を思い返す感じもありますか？
そうですね。自分が幼少の時に好きだった番組や、教科書の中でも好きだった写真とかを思い出しながらやっていくという感じです。これだと中学生の時には興味を持てなかったなとか、これだったらちょっと面白いと思えたかもとか、そういう昔に立ち返るみたいな作業をしています。
――この視点が現代の小学生の感性と見事にシンクロして人気に火がついたんですね。
そういう意味では、うまくいったのかもしれません。でも、すぐ小難しく考えがちで（笑）。“美術作品”っていうと、とても歴史があるものだから、調べ出すとどんどん奥深いところまで……。しかも、頭が良さそうなことを言いたくなっちゃったりするので「そういうのは違う、違う、違う」って自分を諭しています。小学生や中学生、あまりテレビに興味がない人たちや、おじいちゃんおばあちゃん、働いている社会人とか、そういう人たちが、この番組を見た時に興味持ってもらえるように、というのを忘れないようにしながら作っています。
――これまでの作品で、特に思い入れの深いものや、苦労したものなど、印象深いものは？
苦労したのは「保健室に太陽の塔」という作品です。“太陽の塔”って『びじゅチューン！』で扱う作品の中では一番近代の作品で、知っている方も多く、そのイメージも固まっていると思うんですね。これをモチーフにして曲を作るにあたり、いろいろ思いつきはしました。言葉の上では“DJは太陽の塔”とか、“太陽の塔相談所”“太陽の塔ざます”というように様々な可能性が出てきましたが、どうまとめたらいいのかわからなくなり、結構悩みましたね。
――そこからの“保健室”という発想は、はどんな経緯があったのでしょうか？
美術に詳しい方から、“太陽の塔”には、生命の樹っていうのが中にあって、岡本太郎さんはそういう生命のパワーっていうものをすごく信じていた人だからこういう作品を作ったんだっていうお話を聞いたんです。生命の樹が生命の進化を表している、みたいな。それなら、きっと太陽の塔というのは、生命の成り立ちを根元から知っているような存在だから、何を相談しても絶対答えてくれるだろうな、というような発想を得て、ようやく方向が決まりました。そういう人が保健室にいたら嬉しいよな～っていうところに落ち着いたんです。いろいろ悩んだ結果、調べてわかったことをヒントに“保健室”へ行き着いたっていう感じです。まあ、どの曲も思い入れには事欠きませんが、そういうプロセスがあったので、特にこの1曲はすごく思い入れがありますね。
――そして、今回CDも同時に2枚発売されますね。
はい。実は、「車の中で家族で聞きたいからCD出してください」っていうご要望を多くいただいて。これから行楽の季節になりゴールデンウィークなどで、車で出かける機会も多いと思うので、そういう時にみんなで歌ってほしいと思って作ったCDです。車の中以外でも、いろんな場所で聞いてください。投票で選ばれたカラオケバージョンも5曲入っているので、みんなで歌って楽しんでいただきたいなと思います。
――CDの初回特典に封入されるBIGステッカーのイラストは描き下ろしですか？
はい。私の体感で、お子さまに人気の2キャラ “タージ・マハル”と“どじょう”を選抜しました。時々ライブをやることがあるんですが、ちょうどこの前、来てくれたお子さまの中にタージ・マハルの帽子や、どじょうのお面を作ってかぶっていた子がいたんです。それを見て、丸い形や動物はお子さまに好かれやすいのかな？と思い、このキャラクターでステッカーを作りました。EAST編にはタージ・マハル、WEST編にはどじょうの図柄です。このCDは、”旅“をテーマに全体をくくっていて、世界を旅する時でも「びじゅチューン!」をアピールできるように、スーツケースにも貼れる大きなステッカーを作りました。
――ご自身の作品も素敵ですが、井上さんが好きなアーティストは？
アーティスト……。ビヨンセとか好きですよ。あ、そういうことではなくて？（笑）これから『びじゅチューン！』でも取り上げるんですけど、カラヴァッジョ（1573～1610イタリアバロック絵画最大の巨匠））という画家の絵が好きです。絵に照明をガーンと当てたような、暗い中に人がパッと浮かび上がるようなドラマチックな絵を描いた画家なんですけど、その絵がすごく格好良くて好きです。
――普段からアートに触れる生活をなさっていらっしゃる感じですか？
そうなのかな？（笑）はい。アートのシャワー浴びています。（笑）
――最後に、番組ファンの方へのメッセージをお願いします。
番組も3年目になるんですけど、美術にどうにか興味を持ってもらう、という目的は変わらないので、私が小学生や中学生の時に「美術って退屈だな」って思っていた気持ちを忘れずに、そんな人がどうやって興味を持ってくれるのかっていうのを一番に考えてこれからも作っていくので、ぜひ気軽な気持ちでご覧いただけたらと思います。これからもよろしくお願いします。
＜作品詳細＞
■CD「びじゅチューン！ CD EAST」
4月20日（水）発売
\1,944（税込）
発売・販売元：ポニーキャニオン
（C）2016 NHK・井上涼
初回封入特典
①「大好き、びじゅチューン！」BIGステッカー EAST編
②2016年7月16日（土）開催 CD発売記念ミニライブ応募券（EAST分）
※応募にはEAST編、WEST編の応募券両方が必要。（応募締切：2016年6月30日（木）23：59迄）
■CD「びじゅチューン！ CD WEST」
4月20日（水）発売
\1,944（税込）
発売・販売元：ポニーキャニオン
（C）2016 NHK・井上涼
初回封入特典
①「大好き、びじゅチューン！」BIGステッカー WEST編
②2016年7月16日（土）開催 CD発売記念ミニライブ応募券（WEST分）
※応募にはEAST編、WEST編の応募券両方が必要。（応募締切：2016年6月30日（木）23：59迄）
■DVD「びじゅチューン DVD BOOK2」
4月20日（水）発売
\2,916（税込）
発売元：小学館
販売元：ポニーキャニオン
企画・制作：NHKエデュケーショナル
DVD特典映像＝おどってみよう！「縄文土器先生」
初回限定W特典
1.井上涼、描きおろし「びじゅチューン！新聞」（B4判4つ折り／フルカラー）封入
『びじゅチューン！』に登場するキャラクターのスクープ記事、4コマ漫画、ごめユニコーン占いetc.
2.びじゅチューン！DVD BOOK2オリジナルふみちゃんトートバッグ
封入しているアンケートはがきに感想を書いて送付した人の中から抽選で30名にオリジナルのトートバッグをプレゼント（応募締切：2016年8月31日（水））
