――今作で再び佐方を演じてみていかがでしたか？

上川：僕の中でも佐方という男が持っている“キャラクター性”がそれなりに濃かったので、再び佐方貞人を演じることは、なんのハードルもありませんでしたが、今作では、佐方の検事時代が描かれていきますので、“時間軸をさかのぼって演じる”ことに関しては、いろいろイメージを膨らませるところはありました。また、こういったシリーズの進み方自体は、非常に面白いとは思いましたし、しかも、主要キャラクターが、実は前回と同じで、事件も同じ町で起こっているというのもポイントだと思います。

――前作と“違うところ”は？

上川：佐方を取り巻く人々のリアクションが違うっていうところが、僕にとって一番面白いなと思いました。ですので、最初は“佐方貞人”というキャラクターを少しいじってみようと思いましたが、昔の佐方と周りの人たちの関係性から“時間”を描いていけると思いましたので、弁護士の佐方と検事の佐方という“違い”に単純化して作っていきました。

――志田さんはシリーズ初参加ですが、準備されたことってありますか？

志田：まず前作を拝見させていただきました。その時、佐方が生きている“世界観”に自分も入れるのは、とても嬉しいなと思いました。私は、この作品で増田陽子という役を演じているのですが、陽子は、すごく素直で、真っ直ぐな女の子。今回のお話では、痴漢の冤罪といった誰にでも起こり得そうな身近な事件を扱っており、本当にシリアスなシーンが続いていくのですが、その中で陽子は少し無邪気なところがあったり、その場で感じたことをすぐ表情とか口に出してしまうようなところがありまして、楽しみながら演じられたらいいなと思っていました。

――撮影を終えての手応えはいかがでしょうか？

上川：僕だけを取ってみると、先ほどお話させていただいたように、弁護士の佐方と違って、佐方が検事として事件に臨むというアプローチの仕方が全然違っていたので、「なるほど、検事の時はこうだったんだ」と思いながらやらせていただき、演じ甲斐という点ではとてもありましたので、それと同様に手応えみたいなものは得られたように思いますね。

志田：私はサポート役とは言いつつも、佐方さん自身、周りを見ずにつき進んでいくタイプの方なので、逆に振り回されていたなという感じはすごくありましたね（笑）。ただ、台本を読んで思ったことなのですが、解決するのかなと思いきや、ちょっとこれは違うんじゃない？　と、話が二転三転していきますので、読んでいて凄く読み応えがある作品で、すごいボリューミーだなというふうにも思いました。

――現場で、お二人でどんな話を？

上川：僕たちは、漫画の話に終始していたかもしれません……。志田さんは、本当に造詣が深いので、何を振ってもご存知だし分かってくださる。

――ちなみに、漫画の話はどちらから？

上川：僭越ながら私から（笑）。「志田さんって、お好きなんですってね」っという探りから入りました。僕はこんなのを読んでいるのですが、どんなのを読むのですか？　とか、互いに薦め合いをしたりとか。

――そんな上川さんに意外な感じも？

志田：そうですね。なかなか現場で漫画の話とかで盛り上がったりすることが少なかったり、話が続かなかったので、いつもさみしい思いをしていましたが、今回、上川さんから振ってくださって、新しい情報とかもいろいろ教えていただいたので凄く楽しかったです。

――楽しい反面、撮影で苦労したというところは？

上川：前回もそうでしたが、法廷シーンです。他のシーンとは心構えが異なります。このシーンの撮影は、舞台のお芝居にかなり近いような向き合い方になりまして、とてつもなく楽しい反面、“覚悟”というと大げさかもしれませんが、引き締まるものはあり、裁判シーンがやってくるっていうような思いで迎えたりしました。

志田：その法廷シーンは、私は見ている側でしたが、撮影に2日間ぐらいかけて撮っていまして、上川さんの言葉がすごく刺さる現場でした。