西島秀俊、『劇場版MOZU』異国の地で覚悟必至のアクションに挑む

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――今回、シリーズ最大の謎の存在“ダルマ”としてビートたけしさんが出演されています。たけしさんが“ダルマ”を演じると知った時はどう感じましたか?

“ダルマ”は描けないくらい大きな謎という存在だったのですが、今回たけしさんが出て下さって、前面に押し出せることになりました。羽住監督も「たけしさんがキャスティングされなかったら、“ダルマ”はもっと背景的な存在になっていた」とおっしゃっていたくらいです。劇場版で一番大きな謎を描くことができたのは、信じられないような幸運です。

――北野武監督とは『Dolls』でご一緒されていると思いますが、ビートたけしさんとの共演は今回が初めてですね。共演していかがでしたか?

たけしさんは、日本の俳優の枠に収まらない、規格外の演技をされる方。監督としてはもちろん、俳優としても本当に尊敬しています。稀有な人生を歩んでいる方ならではの演技なので、とても勉強になりました。これまで、いち観客としてたけしさんの活動を見てきてもそうですし、こうやって実際お会いしてお仕事をしてもそうでしたし。演技について、たけしさんに「崩してみれば良いんじゃない?」と言われたことは今でも悩んでいますし、「もともと自分はどうなりたかったのか?」という命題も投げて下さいました。“ダルマ”と同じくらい、僕にとっては謎な存在です。

――では、西島さんが考える『MOZU』の魅力とは?

悪役の役者さんたちが輝いていて、他の現場では見たことのないような演技をしているところが大きな魅力です。「どう台本を読んでも、そうは捉えられないだろう」というくらい、それぞれが想像力を膨らませて斬新な解釈をし、役作りを追求した。人間ドラマや視聴者の共感などは、キーマンである大杉に寄せてもらって、僕を含めた他の人たちはとても自由に演じていました。今回の劇場版には、池松壮亮君と松坂桃李君のバトルシーンがあるのですが、あんな二人は見たことないですね。桃李君は、朽ちかけた建物の5階の階段から本当に落ちていましたし。悪役の皆さん、実に楽しそうに暴れて帰っていきました。

――最後に、西島さんにとって『MOZU』はどのような作品になりましたか?

本当にいろんなものが得られたと思います。現場によっては、やる気が空回りするので少し抑えなければいけないこともありますが、この現場は、互いに「俺の方がもっと変だから」などと言いながら、各々が作品に身を捧げられる現場でした。「俺のテンション浮いているかな?」と思っても、全員浮いているからそれが普通で。そういう現場に出会えて、自分がそれだけ「やっていいんだ」と思えたことはありがたいです。また今回は、『Dolls』でお会いしたたけしさんともご一緒できたし、先日は来年公開の映画『クリーピー』の撮影で黒沢清監督ともご一緒できました。今年は、自分にとって大きな転機を下さった方々と再会できたので、改めて「もっと先に行かなきゃ」と思いました。その中でも、一番大きい存在が『MOZU』なので、これを超える作品作りをこれからも頑張っていきたいと思います。

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