いよいよ22日開幕!TBS『世界陸上』近未来の視聴体験を実現した公式サイトの狙いとは?

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――昔と今とで、視聴者の変化をどのように感じていらっしゃいますか?

かつてテレビの中継で言えば、ネットも今ほど普及していませんでしたし、テレビのみから情報を得る視聴者が圧倒的に多かった。でも今は、視聴者の方々はネットでもタイムテーブルや競技の結果を知ることができるわけです。その結果、“リアルタイム”であることをいかに演出するか、が求められていると感じます。その中で、放送でも、ネットでも、よりリッチで的確な情報を素早く出し続けていかなければ、視聴者が満足するものは作れないと考えています。

――世界陸上は、放送でもサイト上でも、今後は情報やデータの見せ方なども変わっていくでしょうか。

そうですね。まさに今回の「ATHLETICS ANALYZER」は、陸上競技の凄さが伝わるデータを、できるだけリアルタイムで出していきたい、というコンセプトで企画されました。まずはサイト上での展開を目標に、いずれは放送にも活かしていく。ただ、野球やサッカーなど、スタッツデータ(統計データ)がすでに一般的になりつつあるスポーツと違って、陸上は競技ごとに考えなければならない。どうやって見せていくのかは、今後の課題です。また、陸上は国内外問わず、個人にスポットを当てなければならない。海外の選手にも感情移入してもらえるよう、各選手のパーソナリティにまつわる情報を、放送中の解説でもサイト上でも、どんどん見せていきます。400mのキラニ・ジェイムズは世界陸上テグ大会、ロンドン五輪で優勝していますが、人口10万人のグレナダ出身。現地に取材に行くと当然、国中が彼を応援しているんですが、例えばそういう情報も視聴者の興味を引く重要な要素です。

あとは、やっぱり陸上のタイムや距離は、野球やサッカーなどと違って、ピンと来ないことも多いですよね。そのため、「競歩の鈴木選手は不動産屋で駅徒歩10分と言われている物件に3分で行ける」と表現してみたり、走り高跳びバーシム選手の現役世界最高記録の高さを感じていただくために、同じ高さほどのバレーボールのネットと比較し、ビジュアルで表現したプロモーション動画を制作しています。見せ方はもっと工夫できる余地がありそうです。

――では最後に、今回、そして今後の世界陸上の楽しみ方がどのように変わりますか?

かつて、日本人みんなが街頭テレビで力道山や野球を見ていました。やはり、テレビマンとしての原点は「テレビの生中継でスポーツを見て欲しい」ということ。でも、その街頭テレビのような一体感を現代に蘇らせるためには、地上波やBS、CS、そして“第4波”としてのインターネットの存在も合わせて考えなければならない。少し前は、テレビとネットは敵対関係のように言われていましたが、今はそうではありません。放送前にはスケジュールをサイトでチェックし、競技はリアルタイムでテレビ視聴。見逃した人やもう一度見たい人はサイト。そんな観かたが、当たり前になってきています。さらに今後、デジタル技術によって新しい視聴体験がプラスされていく中で、テレビとネットはますます協力していかなくてはいけなくなる。今回の世界陸上は、その第一歩になるのではないかと思います。

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