『不適切にもほどがある!』まさかのキラキラ恋愛展開!河合優実“純子”と岡田将生“ナオキ”の牢屋キスで伏線も回収

公開:
『不適切にもほどがある!』まさかのキラキラ恋愛展開!河合優実“純子”と岡田将生“ナオキ”の牢屋キスで伏線も回収

魔法みたいな時間が揺れちゃってどうしよう……愛おしすぎる。3月8日放送の『不適切にもほどがある!』(TBS系、毎週金曜22:00~)第7話は、小川純子(河合優実)とナオキ(岡田将生)の甘い恋愛ドラマ展開に! 岡田将生の適材適所感がすごすぎる。続々登場するゲスト俳優のみなさん、ありがたいです!

回収しなくちゃダメですか?

エモケンこと江面賢太郎(池田成志)の16年ぶり新作ドラマ、どうやら放送枠はEBSテレビの「火曜10時」らしい。これ、たぶんラブコメじゃん!

羽村由貴(ファーストサマーウイカ)は、エモケンがエゴサでアンチを見つけやしないかとヒヤヒヤ。だって承認欲求って本当に厄介。作り手はもちろんだけど、視聴者だって番組に対しての考察をリアルタイム実況することで承認欲求を満たしているんだから。

それがドラマを盛り上げることに一役買っていることに間違いないけど、考察ブームは過剰に伏線や意味を求める要因にもなっている。エモケンが伏線回収にこだわっている姿に、脚本家の苦労を感じた(嘘か本当か「たった一人の孤独な人間のために書いている」って、坂元裕二を意識している発言はかわいい)。

筆が進まないエモケンだったが、途中まで書き上げた作品はやはり傑作。それに筆跡が原稿用紙のマス目に並ぶ手書きの直筆の脚本原稿って、橋田壽賀子スタイルだ。

『ローマの休日』みたいな恋愛の障害を描きつつ、最終回でタイトルの伏線回収もしたいエモケンだが、『17歳〜この景色、忘れない〜』の最終回で見せたい「この景色」のイメージはまだ湧いていない。それに対する「まずは納得のいく第1話を書いてみろ」という小川市郎(阿部サダヲ)のアドバイスは、クドカンが今のドラマ界に放ったメッセージのようにも感じた。

最終回の伏線回収、ラストピースがはめ込まれた瞬間はたしかに見ていて気持ちがいい。しかし、どうなるかもいつまで続くかもわからないからこそ、ドラマはおもしろい。ラストから逆算して考えるなんて、本当はおかしな考え方なのだ。そしてそれは人生にも同じことが言える。人生の最終回なんて、考えたくない。結末なんて知らずに、とっちらかったまま生きていたい。自分の死に際を知っている市郎が言うからこそ、響くものがあった。

二人の恋は『ローマの休日』ならぬ『ローヤの休日』

令和にやってきた純子が今回出会うのは、美容師のナオキ(岡田)。聖子ちゃんカットがイケてるという価値観をあっさり捨てられたのは、ときめきの力か。髪を触られた時に思わずビクンとしちゃう純子、かわいすぎる! 

服も髪もすっかり現代風に生まれ変わり、喋り方もおしとやかに。東京スカイツリーデートのシーンから、急にドラマが変わったみたいだった。そしてデートは横浜・江ノ島へと続く。定番のデートコースをめぐっている様は本当にお似合いのカップル。エモケンのドラマとリンクしながら手を繋いで走り出すの、青春じゃん!

江ノ島のシーンでは、もう完全に頭の中で『真夏のシンデレラ』の主題歌(緑黄色社会「サマータイムシンデレラ」)が流れていた。沈む夕日に、新江ノ島水族館、夜の浜辺。全部が絵になる。ねぇ、このまま2人で月9の主演やってくれない? 

しかし、それもナオキがスマホを落として文字通り「終わった」。現代人にとってスマホ紛失は死。おそろしすぎる。店員に噛みついて警察が来てもあばれた純子、ナオキのために抵抗したんだよね。いい感じの相手の前で本性をさらけ出すの葛藤があっただろうに……泣ける。

それでも牢屋の中で「楽しかった」と笑って語っていた。純子にとって未来で一番の思い出は「牢屋」。まさか、市郎たちが来る前にナオキと牢屋ごしのキス展開があったなんて。『17歳〜この景色、忘れない〜』。純子にとっての「この景色」は、「ローマ」じゃなくて「ローヤ」だった。クドカン、ちゃんと回収してるじゃん……! 純子には残された時間をただただ楽しい思い出でいっぱいにしてほしい。

ちなみにナオキが、最初から最後までドラマを見ることがなく、たまたま見た何話が好きだったらそれは僕にとって好きなドラマだと説明するシーンも気になった。こういう視聴者のために、1話完結のドラマって増えたんだろうな。

一方、昭和パートでは……ミュージカルパートで向坂キヨシ(坂元愛登) の担任の安森先生(中島歩)が、まさかのサカエ(吉田羊)に告白! 小林明子の「恋におちて -Fall in love-」を歌い合うなんて、もう恋始まってる? サカエは安森がドンズバでタイプ。でも、見た目で好きになるっていいのか。その葛藤を「すきゃんだる」のマスター(袴田吉彦)とともに歌い上げた。

「ルッキズム」ってドラマでなかなか使われない用語だから、ここまで一般的に認知されている言葉だったんだとびっくり。でも「外見が好き」という文脈を「ルッキズム」に当てはめるのはちょっと言葉の説明が足りなさ過ぎる。

昭和は求人に「容姿端麗」と見た目の美しさを条件に採用することが許容されていた時代。他人に容姿を揶揄され、コンプレックスを植え付けられるシーンに出くわすことは今より多かったはず。それを思うと昭和パートにいるサカエには差別的視点でルッキズム問題を扱ってほしかったからちょと残念。

また、ムッチ先輩(磯村勇斗)が素直にタイムマシンを受け入れるところに『ドラえもん』の偉大さを感じたが、なんと次回は本当に令和に?

(文:綿貫大介)

PICK UP