
人はどこかで生まれ、どこかで暮らし、どこかで死んで行く。そんなシンプルな事実の中で、人と場所というのは不思議な関係性にあるのではないだろうか。
生きていくのにいい場所というのはどんなところなのか。
ひとつの小さなプールがある。そのプールをとり囲むように暮らすこの映画の登場人物たちは、なぜココにきたのか、ココにいるのか、誰一人として語ることはないが、自分と場所との関係を感じている人たちである。
余命を告げられたというのに、恐いくらいのタオヤカさで暮らす菊子。
愛されたものにしか出来ないような、素直な人の愛し方をする京子。
天性とも言える優しさに、時々自分自身をもて余す市尾。
無垢な健気さで自分の生き方を始めようとしているビー。
そんな4人の暮らす場所に、京子の娘さよがやって来るところから、この物語は始まる。自分の中にある資質を分析しつつもまだ把握出来ない、そんな人生の発展途上にあるいらだち、そんなさよに、極めてフツーの空気感で接する菊子たち。無理せず生きている人たちに出会ったことにより、だんだん解き放たれていくさよ。そしてやがて自分の中に流れる母と同じ感覚に気づき始める。
人と場所との関係は、人と人との関係に似ているのかもしれない。
人は好きな場所にいるだけが幸せなのか、人と人はいつも一緒にいることだけが幸せなのか。
水を青く揺らす静かなプール。
木々の間を吹き抜ける緑色の風。
タイの古都、チェンマイ、気持ちの良いキラキラと光り輝く空気の中での、6日間の5人の物語は、そんな当たり前の、誰もが感じそうな思いに、ストレートに近づいてみました。